きょうから平常運転

正月早々、人生の一大事があったので日にちの感覚も曜日の感覚もおかしくなった。まだ1月4日くらいかと思ったらもう8日か。その間にこんなニュースがあった。

  ベッキーにキック痛打 ダウンタウン年末特番―国連、憲法の視点からも最悪*1

番組は見ていた。母が息を引き取ったのは家の状況(電灯やエアコンのスイッチなど)で元日だと思っていたのだが、警察から戻ってきた母の衣料から考えて大晦日の夜だった。検死の結果も大晦日。起きたときではなく、これから寝るとき。そうするとベッキーがタイキックをされたころか、松本がウンコを漏らしたころだ。上の記事だが国連や憲法の問題にまでなっちゃうのか。いくつか抜粋すると

  ・女性への暴力を男性達がゲラゲラ笑うという本企画の構図自体が、醜悪であるし、不謹慎極まりない

  ・法律によって刑を執行する刑務官以外の一般人が「刑罰」と称して他人に危害を加える私刑は厳しく禁じられる行為である

  ・不倫自体は刑事罰を加えられるものではない。まして、不倫を口実に暴力をふるったら、それは暴行・傷害罪となりうる

突っ込みどころを上げたらほぼ全文掲載になってしまうので、とくに笑止の箇所だけ転載してみた。1番目は女性を男性が笑ったわけではなく、それが目的の企画でもない。2番目は「禊ぎのタイキック」と言っていたが、そこに主眼はなく出演者もそうは思っていない。3番目はそう思うならあのニュースが出たときどれだけの人がベッキーを擁護したというのか*2。ここまで大上段に(大冗談にしか思えないけど)構えたのは珍しいが、ほかの記事も似たような内容だった。ところがベッキー本人は

  ベッキー、“タイキック”されたガキ使逆ドッキリ「本当にありがたかった」*3


  年末のバラエティー番組といえば代表格が『笑ってはいけない』じゃないですか。なので、バラエティータレントの私個人としては

  出演させてもらえてうれしかったな、と思います。あと、仕掛け人として出ていったんですけど、そんな私が逆ドッキリされるっていうのもね。

  タレントとして本当にありがたかったなと思っています」と、出演について感謝を述べた。

そりゃそうだろう。今回の放送はタイキックのベッキーと、バスの奥菜恵だけが印象に残ったよ。本人は暴行されたとも、私刑や罰をされたとも、自分の人権が蹂躙されたとも思っていない。タレントとして「おいしかった」に尽きる。そう書くと「子どもが真似をしたらどうするんだ!」と反論をする人がいるが、それを言ったらボクシングや相撲だって子どもに見せてはいけない。柔道だって受け身が取れない人を背中から落とせば死に至る。親が「ベッキーを蹴った人はプロのボクサーで、怪我をしない場所を正確に蹴っているの。だからあなたは真似しちゃだめよ。あなた自身の人生が終わっちゃうわよ」と言えば済むことだ。それでもやっちゃう子はそもそもの子どもの教育ができていない。このベッキーの発言で振り上げた拳を下ろせなくなって、今度はベッキーに噛みつくバカが現れる。

  ベッキーよ、タイキックに感謝するのはやめなさい*4

  (中略)

  再起を図るにしても、別のやり方があるだろう。このような前例があれば、何かこうスキャンダルがあった人は

  (そのスキャンダルも、「別にいいだろ」というものが中にはあるのだが)、ここまでしないと復活できないという悪しき前例にならないか。

  (中略)

  「ガキ使」に対しては、不満と不信が鬱積し、断固たる大衆的反撃の闘いの炎は燎原の火のごとく燃え広がりつつある。

  このような低俗な手段をもってして延命のあがきをする炎上放火者たる同番組に対しては、イデオロギーを超えて、

  無慈悲な鉄槌を振り下ろすべきである。

  (中略)

  今ここで起ちあがらないならば、人類滅亡の危機さえ招くことを直覚し、勇躍決起した次第だ。ガキ使の道義の頽廃を徹底的に糾弾するとともに、

  その悪行を完膚なきまでに暴き出す闘いを断固として創造するのだ。

おまえは北朝鮮のニュースか! すごいだろ。この記事は笑ってもらおうと書いた者ではない。本人は心からこう思っているのだ。この人がガキ使に対して無慈悲な鉄槌を振り下ろしどう起ち上がるのかは楽しみだが(たぶん起ち上がらない)、そもそもベッキーはとっくに再起している。復活もしている。ただ、以前ほど仕事がないのはベッキーが休んでいる間にほかのタレントがその枠に収まってしまっているからだ。この記事を書いた人、それほどのエネルギーがあるならガキ使ではなくて別のところに向けてくれ。熱湯風呂に落ちる竜ちゃんや、ザリガニに鼻を挟まれる哲っちゃんの仕事を取らないで欲しい。