10月に読んだ本

「ずるい思考術」練習帳 (ShoPro Books)

「ずるい思考術」練習帳 (ShoPro Books)

ぜんぜんずるくなかった。期待外れ


セブン

セブン

いままで誰も書かなかった新しい状況設定、新しいトリックを生み出そうという作者の心意気は買う。だが小説としておもしろくないと...


波形の声 (文芸書)

波形の声 (文芸書)

上と対称的なのが、警察を舞台にした良質の短編集に外れのない作者。ミステリーの短編は最後にひねりというかサプライズがあるでしょ。読んでいるうちに「さあ、来るよ来るよ、ほら来た!」といういかにもな作品が多い。この人のは小説としての完成度が高いのでクライマックスがあって納得の読後感があって最後の最後でひねって着地する。そこで初めて冒頭の設定なりエピソードがラストの布石だとわかるわけだ。


平衡状態とは「静」のイメージがあるでしょ。動的平衡とは変化しつづけることが平衡状態になっていることで、宇宙や生命の進化を説明できるかもしれないと期待されている理論。本書はそれの説明じゃなくて、過去に2冊くらい本を出した筆者が「動的平衡」をキーワードに画家、映画監督など自然科学以外の専門家と対談する。対談集としてはいろいろなジャンルの人が出てくるので面白い。だが買う本をまちがえた私、動的平衡そのものはこの本を読んでもわからないぞ。


「無」の科学

「無」の科学

「無」をキーワードに、数学の「0」、無限大無限小、宇宙、真空、絶対零度、いろいろな分野の「無」に関する研究を集めたアンソロジー。どれもそれほど難しい話ではなくてなかなか面白い。真空って、まったく何もない真空を作るのってほぼ不可能だそうだ。


一時、経営的にヤバかったユニバーサルスタジオジャパンを数々のヒット作で立て直して、売り上げ900億の会社で総工費700億のハリーポッターを作った筆者の話。良質のアイデアって、髪が長い髭を生やしてTシャツを着た兄ちゃんが考えるわけではなく、ふつうにスーツを着たおじさんがそれこそ1日中、もだえ苦しみながら生み出すものなのだ。


侵入者 自称小説家

侵入者 自称小説家

だめだ、読書感想文は月が変わってすぐに書かないと。どんな話だったか忘れちまったよ。


このところ短編集ばかりなのがさびしいな。前の話の登場人物がつぎの話の登場人物の話題にちょっとだけのぼるくらいの緩い連作短編集。しかし、初出を見ると7年間に渡って、年に1作、2年に1作のペースで発表されたもの。単行本で読むから名前がわかるのであって、連載時はぜったいに無理だろう。


物語のおわり

物語のおわり

イヤミス(読後感が悪いミステリ)の「告白」でデビューした作者。以降、関係者の語りで少しずつ事件の全貌または真相が浮かび上がってくるスタイルのミステリを書いていたが、近年はどんどん純文学にシフトしており、この連作短編集は誰も死なないし、悪い人もイヤな人も出てこない。同時期に北海道を旅している人たち。その人たちの手にある物が受け渡される。うまいな、これはうまい設定だな。この手の連作短編集の定石のラスト1編だが、ちょっとそれのインパクトが弱め。でも純文学だからしかたない。この人もどんどんうまくなるよ