秋の映画まつり「IT ”それ”が見えたら、終わり。」

前作の映画も観たし、原作も読んだ。映画はイマイチだった。なにしろ原作は厚めの文庫本で4巻もある長い話。それを2時間に収めるのは困難だ。スティーブン・キングの小説はかなりの本数が映画化されているが良作は「シャイニング」、「キャリー」、「ペットセメタリー」くらいではないか。原作では事細かに書かれている登場人物の心理描写やその時代、その場所の雰囲気を再現するのは難しい。この話は前半が少年編、後半はその27年後を描いた大人編。予告編を見ると子どもしか出ていないので少年編だけ映画にすれば佳作になっている可能性はある。
映画.comのレビューを見ると「怖くなかった」、「子供だまし」、「お化け屋敷のアトラクション」とか散々な言われようだが、私は良い映画だと思った。秋に観た映画では一番だ。だいたいキングの原作だぜ。そんなに怖い話であるはずがないじゃないか。案の定、少年編だけを2時間にした割り切り。これは後半だけを映画にした「シャイニング」と同じ手法。そして映画としてちゃんと作ってある。アメリカの田舎町の風景が実にきれいでカメラワークも贅沢。また出演している少年少女がそれぞれ個性的な子で可愛い。
エンドクレジットで「第一章」と出たので続編も作るのだろうか。だが大人編は少年少女のときの輝きを27年後も持てなかった悲しみ、全員が後悔だらけの大人になっているつらさが描かれているので見たくないかも。