潜入ルポ−自衛隊しばりの婚活パーティ−

って、別に私が言ったわけではないぞ。私の娘だ。実写版を放送しているときにセーラー戦士たちと同じ中学2年生、14才だった私の娘だ。ほぼ毎月、合コンだとか婚活パーティーに行っている。そして必ずぶりぶり怒りながら帰ってくる。ろくな男がいなかったと。娘よ、何度言ったらわかるんだ。

  いい男は婚活パーティーなんかに参加しない

おまえは何のために看護師をやっているんだ。医者を捕まえろ、医者を。娘曰く

  かっこいい人はみんな結婚をしてしまっている。残っているのはキモイのばっか

わかるわかる。奥田英朗の「イン・ザ・プール」に出てくる伊良部先生みたいな奴な。いままでに参加したのが「消防士が集まる婚活パーティー」と「SEが集まる婚活パーティ」。どちらもハズレだったそうだ。SEがダメなのはわかる。名前はかっこいいがIT産業の底辺だもんな。いや、底辺はプログラマーか。消防士は公務員なのでよほどのヘマをしない限り終身雇用制、将来が安泰だ。しかも警察官より危険が無さそうだ。だが、これもピンと来なかったそうだ。そして先週は「自衛隊が集まる婚活パーティー」。自衛隊かあ。彼らも実は公務員なんだよね。自分自身が大けがをしたり、訓練中に同僚を射殺したり、民家にロケット弾を撃ち込まない限り、終身雇用制なのではないだろうか。私も女房も何も期待しないで「きっとまた怒りながら帰ってくるよ」と言っていたが、意外と上機嫌で帰宅。どうだった?と聞くと

  全員が私より年下だった

27才の娘より年下って、みんないくつなんだよ。25才前後らしい。中には22、23才の男もいたので娘が聞いてみた。

  娘「あなたの年令ならこんなところに来る必要ないでしょ?」

  男「独身寮を出たいんす。独身寮を出るには30才になるか、結婚をしなければならないっす」

そんなに独身寮がイヤなのか。イヤだろうな。なんかいろいろ決まりがあって面倒くさそうだ。みんなボソボソとしゃべって根暗なSEに比べると、自衛隊はハキハキして娘は好感触だったそうだ。わかる...娘は父親に無いものを求めるんだよな...
あと防衛大出身者は幹部候補生と聞いたことがあるが、そのスピードが半端ない。25才の防衛大出身が来ていたそうだが、彼はもう教官をやっている。4年生の大学を出て25才って、まだ正式に入隊して丸2年だろう。でも防衛大だと入学=入隊みたいなもんか。彼が教えているのが陸上自衛隊のサバイバル訓練。映画「野生の証明」を見た人は知ってるね。映画の冒頭で高倉健がやっていた奴。最小限の携行品だけ持ってヘリコプターからロープで原生林の真ん中に降りて脱出するやつ。すぐに食料が尽きてヘビを捕まえて食うそうだ。彼はこの訓練で13kg痩せたと言っていた。
夜、女房に「新郎が自衛隊だと、向こうの職場関係はみんなあのかっこいい制服を着てくるんだよな。なんかいいよね」と言ったら「だめだめ、あの子は結婚する気なんか全然ないから。いまの天国みたいな暮らしを捨てるわけないから」だと。たしかに掃除、洗濯、食事はぜんぶ女房がやって給料はぜんぶ自分の小遣い。そんな生活はなかなか手放せないよな。じゃあ、なんで婚活パーティーに行くのだ? あ、私が握手会に行くようなものか。それもわかる...