6月に読んだ本

4月からはじめた在庫整理キャンペーンがまだ続いている...

著名作家を集めたどんでん返しアンソロジーAmazonのレビューでは酷評されているがタイトルと作家名で期待しすぎてしまうのだろう。古本屋のワゴンセールで見つけたら読んでみてね。


三丁目の地獄工場 (角川ホラー文庫)

三丁目の地獄工場 (角川ホラー文庫)

気持ち悪い系のホラー短編集。このカテゴリは飴村行というヌメヌメ系ホラーの偉大な先人がいて、それに比べると気持ち悪さが足りないが最後のは良かったように思う。


「扉は閉ざされたまま」など一連の長編に出てくる素人探偵・碓氷優佳が学生だったころに遭遇した事件の短編集。このシリーズはコロンボのように犯人の視線で物語が進み、完全犯罪が成功かというときにたまたまそこに居合わせた碓氷優佳によって犯罪が暴かれる。どれも犯人にはやむにやまれぬ事情があって読者は犯人の方に感情移入する。そこに無個性の碓氷優佳が淡々と疑問点を挙げることで犯人が追い詰められる構成になっており、たぶん碓氷優佳が好きな読者は少ないのではないだろうか。本書でもその点が遺憾なく発揮され、最後の話で登場人物が読者と同じ感想を持つ。なんだ、作者もわかってやってたのか。


これも超売れっ子作家による「午前零時」をテーマにしたアンソロジー。うまいよ、どれもうまいよ。


寝る前に読んでいた実話系ホラー短編集。この系統の本では佳作。


買ったままずっと読んでなかった本だが、なんだよこれ。傑作じゃないか。結婚式場を舞台にした群像劇。冒頭は登場人物の紹介がわりのオープニングがあり、これは名前を覚えられるか? 途中でわけがわかんなくなるのではないかと思ったが心配無用。それぞれの人物が抱く思いや、この日にやろうとしていることが違いすぎて物覚えが悪い私でもまちがえない。並行して進むエピソードがどれも楽しみすぎて、最後にそれが融合してきて、困った人が最後に助けてくれたり、とんでもない男はちゃんと勧善懲悪になってたり、大満足の一冊。


悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

その年のミステリー関係の賞を総なめにした「その女アレックス」の作者。話は本作のが古いのかな。アレックスは変則的なミステリーだが、こちらは連続猟奇殺人犯を追う刑事という正統派のミステリ。主人公を筆頭にその部下も個性的かつ魅力的に描かれており一気に読める。だがラストのあれは必要か。無駄に後味を悪くしているだけのように思うが。


半年が過ぎたところで、今年のベスト3をフィクションとノンフィクションそれぞれで作ろうと思ったが2冊ずつしか選べなかった。例によって私が今年に読んだ本であり、今年に刊行された本とは限らない。

  フィクション部門

    ・本日は大安なり

    ・悲しみのイレーヌ

  ノンフィクション部門

    ・「学力」の経済学

    ・成長なき時代のナショナリズム

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