3月に読んだ本

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)

以前に読んだ本で「よい話し方」のテクニックを身につけても聞くに値する内容、つまり思考がなければよい話にならないというのがあった。この本はさらに根本に向かって「よい話し方、よい内容の話をしても、あなたの話に耳を傾けようと思ってくれなかったら話す機会を与えられない」というテーマ。そこを問題にしちゃう? よいメディア(放送局とか新聞社という意味で)になるにはどうしたら良いかの本。うーん


私はポピュリズムの意味をまちがえて覚えてたよ。恥をかく前にちゃんと理解しておいて良かった。


この人の実話怪談シリーズ、ぜんぶで何冊あるんだ? すげえな


猫には推理がよく似合う

猫には推理がよく似合う

主人公は探偵事務所でアシスタントをやっている女性。その事務所で飼われている猫は主人公と話せる。殺人事件を猫と一緒に調査することになったが...作者は元弁護士で、緻密な構成のミステリーを書く人だが今回はなんでこんな設定なんだ? と思ったらラストは合理的な落としどころ。だが悲しすぎる...


スティグマータ

スティグマータ

海外の自転車競技チームの一員である主人公を描くサクリファイスシリーズの4作目。30才が目の前になり、あと何年競技ができるのか、自分を雇ってくれるチームはあるのか、まだ20代ながら競技の性質上、人生の晩秋のような本作。このシリーズは主人公の一人称で書かれているのだが、本人は極めて内省的。将来への不安、明日のレースの心配、嫉妬心への嫌悪、いろいろな感情が淡々と書き綴られる。それがすごくいい。これは女性の作家でないと書けないだろうな。


超図解「21世紀の哲学」がわかる本

超図解「21世紀の哲学」がわかる本

図解はいらないと思うぞ。物事の真理や人生の根源を問う古典的な哲学より、リベラリズムリバタリアニズムコミュニタリアニズムあたりの政治思想がよくわかった。思うに、日本最大のリベラルな政党は民進党ではなく自民党なんだ。100議席以上持っていた最盛期の社会党の位置に自民党がいるので民進党共産党も居場所がない。代案など出せるはずもなく(自民党と同じになっちゃうから)できることは自民党に反対することだけなのだと思う。異論は認める。


佐藤オオキのボツ本

佐藤オオキのボツ本

以前、コピーライターの人が書いた本を読んで、一つのコピーを作るためには100個とか200個の案を出すと書いてあってびっくりした。そこまでの数の案を出せる人が一流なのだな。筆者は世界的に有名なデザイナーで、過去のプロジェクトでボツになった案について、どういう発想でそれを作り、どのような理由でボツになったかを豊富な例をあげて解説してある。コピーと同じく、工業デザインも大量の案を作るのにびっくりした。だがこのボツ案は無駄ではなく、依頼主が気づいていない、その道のプロではないからこそ出せるアイデアを見せることで依頼主の発想の幅を広げることができるそうだ。