5月に読んだ本

幸・不幸の分かれ道

幸・不幸の分かれ道

幸せな人生を送るにはつぎの2つを心がける。誤った情報に騙されない、不幸を笑い飛ばす。けっこう目ウロコ本だった。人間の指は6本あるのが普通だ、と思っていると自分の指が5本しかないのを嘆くことになる。そんな奴はいないと思うが、たとえば「努力すればなんでもできる」と思い込んでいたら、それはまちがった情報だから努力してもできなかったら、あるいは努力する気が起きなかったら不幸になる。


奴隷小説

奴隷小説

物理的、精神的になにかに囚われて逃げ出せない人の話を集めた短編集。オチがない話が多くて、それがいちだんと読後感を悪くするという。上の本を読んだあとにこういう本を読むってどうなんだよ。


島はぼくらと

島はぼくらと

ここからは後ろの本は、引っ越しを見据えて買ったまま読んでなかったのを消化していったんだ。離島に暮らし船で本州の高校に通う男女4人を主人公にした連作短編集。毎回、ちょっとした事件が起こる。殺人とかじゃなくて本当にちょっとした出来事なんだけど。ただその出来事の受け止め方というかインパクトの強度が人それぞれで違う。それを丁寧に書き込む作者の筆力に脱帽。本当に立派な作家になったと思う。


天切り松 闇がたり 5 ライムライト

天切り松 闇がたり 5 ライムライト

何年ぶりかで出た5作目。1作目は明治だったが本作は昭和。登場人物たちも中年から壮年になっている。当然、その時代の背景とか雰囲気に創作は混ざっているのだろうが、政府や警察が「そのように粋でないことをしたら市民が黙っていない」と、「粋」かどうかを判断の基準にする。いいねいいね、素敵だね。平成の都知事、法には触れてないが粋ではないんだよね。


MM9―destruction― (創元SF文庫)

MM9―destruction― (創元SF文庫)

気象庁怪獣対策課の第2弾。いま調べたらこのシリーズ、映像化されてDVDボックスが出てるじゃないか。見てえ、でも高けえ。2作目は地球の征服を企む宇宙人が操る怪獣。スケールが大きくなりすぎて怪獣課では対抗できず、変身ヒーロー物になってしまっているのが好き好き。


退屈な日常を変える 偉人教室

退屈な日常を変える 偉人教室

しくじり先生のノリで、ナポレオン、ソクラテス野口英世、キューリ夫人など古今東西の偉人が出てきて講演をする。一つの話が短くてすいすい読める。これは小学生のお子さんにちょうどいい本だな。ここで興味を持った人の伝記を読んで、さらに歴史や科学にもっと興味を持てたら素敵だ。


名言の紹介と、それを言った人の話はガチなんだが、田辺画伯の絵がテキトーすぎる。そういう意味じゃねえってという絵も多くて笑ってしまう。


「護憲」って言葉があるでしょ。護憲派の学者とかいるよね。憲法を守るというのは憲法の文面を守ることではなくて、憲法をないがしろにしないことが憲法を守るということ。軍隊は持たないと書いてあるのに軍隊ができちゃって、それが何十年も存続して、いまさら解散できないのなら、憲法を改定することこそ護憲であると。これも目から鱗が落ちたなあ。オレの目の鱗はなんて安い鱗なんだ。


本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)

本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)

筆者は歌人なのだが、この人のエッセイが最高。小市民ぶりと屁理屈を隠そうともせず、それを売りにして、しかも歌人らしい文章のうまさで読ませる。先日お亡くなりになったマンガ家の吉野朔実さん。「本の雑誌」に連載していた毎回4ページの本にまつわるマンガによく出てくる眼鏡の中年は作者なのかな。私が読むマンガはゴルゴ13とこの4ページだけだったので実に惜しい方を亡くした。まだお若かったのにお気の毒だ。ご冥福をお祈りする。