以前に読んだ「
本屋さんのダイアナ」の似ている。あちらは正反対の境遇の少女がひたむきに生きている話だったが、こちらは30才のキャリアウーマンと、マイペースで生きる主婦ブロガー。正反対の二人が出会ったことで二人の人生の舵が大きく切られる。読み始めたときの登場人物に対する読者の印象や、物語の展開に対する読者の予想が何度も裏切られる。読後感は最悪なのだが、
ストーリーテリングがさすが。
四国のある町で住民全員が死亡。原因はテロだという政府と、
感染症を疑う厚生省の職員の主人公。テロ組織も見つからず、
感染症を起こすウイルスも見つからず事態はどんどん悪化し、四国は全滅。本州でも被害は出始める...発想は面白いのだが、物語としての深みが無いというか。次作に期待だ。
この本を買うのはビビる。なにしろ5cmくらいあるので読破できるのは自信がない。だが心配無用、一気に読める。今年読んだ本のベスト3に入る傑作だ。
新興宗教の教団が二つある。別れた恋人に会うため潜入する主人公。まずは教祖の講演のDVDを見させられる。この教祖の話が物語の4分の1くらいを占めているのだが、これが面白い。宇宙の起源、物質の成り立ちなど現代物理学のエッセンスの講義になっている。高校の物理学や大学の教養講座の最初の授業で読ませたい内容。その後、別の教団に拉致され、あっちの教団の内偵をすることになる。さらにそれぞれの教祖の現在に至るまでの話とか、物語はあっちこっちに飛び、ラストはなぜか活劇になる。なんだか和洋中をごちゃ混ぜにしたコースを食べているようだが、物語はいっときも破綻せず最後までグイグイ読ませる。
伊坂幸太郎の短編集。短編ながらいつもの
伊坂幸太郎。最後にロングインタビューが載っていてこれがファンとしては楽しい。一時、「あるキング」とか「
夜の国のクーパー」とか伊坂さんどうしちゃったの?という時期があったが、やはり本人が「おんなじような話ばかり書いててはしょうがない」と思ってた時期だったそうだ。でも戻ってきてくれてよかった。
出版元は
サイゾーだが真面目な本。現代の諸問題を哲学の見地から分析、論評する。ただ、「この問題に関して
ニーチェはこう言ってる、カントはこう言ってる」というのは少なく、ほとんどは著者の考察になっていて、なかなか説得力がある展開。デモをしている学生はもっと勉強しろよ。
タイトルのような読者から寄せられた荒唐無稽な質問を科学的に答える本。ちなみに野球のボールを光速で投げるとスタジアムが跡形もなく吹っ飛ぶ。多少、物理学の知識があったほうが楽しめる本。
寝る前に読んでいた短めの怪談実話集。FKBは不思議・怖い・不気味だそうだ。
竹書房の怪談本ってだいぶ前に読んで怖い以前に小説としての拙さから敬遠していたのだが、
異形コレクションにそれほど引けを取らないほど集められた作家のレベルが上がっている。