4月に読んだ本

Story Seller annex (新潮文庫)

Story Seller annex (新潮文庫)

人気作家のアンソロジーはいろいろな出版社から出ているが、新潮文庫のこのシリーズが最強だろう。その作家の短編集に入っていた作品が二つくらいあったが、読み終わった瞬間に内容を忘れる私の読書脳。問題なく楽しめた。ふだん読書をしない人が旅行に持って行くのにお勧めのシリーズ。


プラグマティズムの作法 ~閉塞感を打ち破る思考の習慣 (生きる技術! 叢書)

プラグマティズムの作法 ~閉塞感を打ち破る思考の習慣 (生きる技術! 叢書)

なぜかコンピュータ図書の技術評論社から出ている本。「プラグマティズム実用主義」と用語だけは知っていたが、じゃあそれって何?ってのがわかりやすく書いてある前半はなかなかの良書。ただ、それをもとにした現代日本の政治や公共事業の処方箋を語る後半はかなり無理があるように思えた。Amazonのレビューも良書派と悪書派の真っ二つに分かれていて興味深い。


恋と禁忌の述語論理 (講談社ノベルス)

恋と禁忌の述語論理 (講談社ノベルス)

毎月書いているこの記事。あくまで私が読んでどう思ったかだけを述べて、もし私と同じ趣味の人がいたら参考にしてもらうつもりで書いている。なので私とは別の感性の人はまったく別の評価をするだろうから、悪いことだけは書きたくない。なのでこの本については何も書かない。


迷宮 (新潮文庫)

迷宮 (新潮文庫)

主人公は深い関係を持つようになった女性は、その昔、一家惨殺事件でただひとり生き残った少女だった。全編を覆う暗いトーンと不気味さは作者特有のもの。ミステリーではないので、ラストで女性の口から事件の真相が語られる。ここがけっこうな分量で、ふつうは退屈するものだが読者の興味と集中力を途切れさせないのが作者の力量だと思う。


六つの手掛り (双葉文庫)

六つの手掛り (双葉文庫)

もうすぐ封切られる「イニシエーション・ラブ」の作者のミステリー短編集。あの作品、最後の1ページですべてがひっくりかえり必ず2度読みするという謳い文句。映画もそうなんだけど、私はオチがわからなかったんだよね。映画を観ればわかるかな。でも予告編で「原作とは結末が違います」って言ってたからな。わからずじまいか。で、4月に読んだこの本だが、最近出た短編集もそうだったがたしかにミステリーとしてはよくできている。だが小説としてあんまり面白くないんだよね。


甘い復讐 (単行本)

甘い復讐 (単行本)

民宿雪国」という変な話の作者。この短編集もかなり変だ。変というか異常な人が出てきて異常なことをする話ばかりだが、小説として破綻していなく読者の興味をそらさず最後はきっちりまとめる。こういう話は変な人ではぜったいに書けないと思う。


オックスフォード大学・ケンブリッジ大学の入試問題 あなたは自分を利口だと思いますか?

オックスフォード大学・ケンブリッジ大学の入試問題 あなたは自分を利口だと思いますか?

一筋縄では回答できない問題の数々。ざっくり推定をする問題(フェルミ推定)から、哲学的な思考を必要とする問題、理学・工学のセンスを必要とする問題などいろいろ。この本はただ模範解答を示すというより、その問題を話題にしたエッセイ集のような感じで世の中にはこんな知見があるのかと感心をしながら気軽に読める。ただ入試問題なので、どういう切り口で考えたらよいかさっぱりわからないという問題は少なく、そこがちょっと不満。