11月に読んだ本

境遇

境遇

前作もそうだったのだが、読み進めるうちに「この人がじつは○○だったら面白い話になるだろうな」と思う。頼むから私の予想を裏切ってくれよ!


くじけそうな時の臨床哲学クリニック (ちくま学芸文庫)

くじけそうな時の臨床哲学クリニック (ちくま学芸文庫)

臨床哲学」を提唱する著者。研究室にこもって考えるのではなく街の人の悩みや問題に哲学を応用してみようという試み。とはいっても、カウンセリングではなくてあくまでも哲学。安直に答えを出すことが目的ではない。やはりひたすら考える。いくつかの章があり、それぞれが相談者と対話をしながら思考を深めていくメインパートと、同じテーマで過去に著者が発表したエッセイが何本か載せられている。この体裁、以外にいい。


台湾に生きている「日本」 (祥伝社新書149)

台湾に生きている「日本」 (祥伝社新書149)

日本人が戦前に台湾に作った建築物や石碑を訪ね歩き、その時代の話をお年寄り(みんな日本語ペラペラ)の話を聞くというもの。さらに国内では知らない人が多いが、台湾の近代化に貢献して向こうでは有名な日本人の記念碑やその功績を訪ねる。なにしろ当時は国家予算の10%を台湾に注ぎ込んだらしいので、ここは日本の建築家や技術者にとって非常にチャレンジャブルな地だったようだ。うー、行ってみたい。


鍵のかかった部屋

鍵のかかった部屋

密室殺人の長めの短編が4つ。この密室、すべてが「機械的な密室」なのだよ。機械的な密室とは、横溝正史の「本陣殺人事件」のように機械的な仕掛けで犯人が部屋から出た後に密室を構成するというもの。これはいまは流行らないのを知らない著者ではないだろうに、それをあえてやってみたということか。だがいかにしても不自然。いくら部屋に入る方法がわからないからといって、自殺するはずがない人が死んでいたら警察は他殺にすると思う。


髏漫 (ハルキ・ホラー文庫)

髏漫 (ハルキ・ホラー文庫)

燦めく闇 (光文社文庫)

燦めく闇 (光文社文庫)

自身の著作より、異形コレクションの編者としての方が有名なのではないだろうか。たまたま古本屋にあったので2冊買ってみた。「幻想小説」的な話が多いのだが、この手の話は読者をよほど物語の中に引き込まないと、訳がわからない話で終わってしまう


武器としての決断思考 (星海社新書)

武器としての決断思考 (星海社新書)

星海堂ってなんだ。初めて聞いたよ。タイトルにやや偽りあり。中身はディペードのしかた。ただ、このディペードを自分自身の中で行なえば、つまり自説に対する反論を自分でしてみて、さらにその反証をする。そうやって思考を深めていけば何かの決断においてまちがいがないということだ。このディペードのしかたは小中学校で教えるべきだな。小学校のとき学級会ってあったじゃない。あれって、いま思うとまるっきり無駄な時間だった。先生もやり方がわからなかったのだろうが、勝った負けたではなく、反証をどんどんすることで正解に近づいていく。このプロセスは学校で教えるべきだ。



怪談実話系 4―書き下ろし怪談文芸競作集 (MF文庫 ダ・ヴィンチ ゆ 1-4)

怪談実話系 4―書き下ろし怪談文芸競作集 (MF文庫 ダ・ヴィンチ ゆ 1-4)

怪談実話系5 (書き下ろし怪談文芸競作集)

怪談実話系5 (書き下ろし怪談文芸競作集)

第1巻を読んだら、あまりのクオリティの高さに感激して、残りを買ったのだよ。でも1巻を超えるものがなかった。まあ、そういうものだけどね。6巻はどうしようかなあ