2月に読んだ本

5冊! いくら2月は短いとはいっても、たった5冊。最近、体調が悪いのだよ。電車の中は寝ている時間が多い。かといって具体的にどこかが痛いとか苦しいというわけではない。なんなんだ、この不調は。たぶん「冬バテ」なんだと思う。「夏バテ」は毎年するが、今年はこの寒さにバテる。年令からくる耐久性の低下も関係しているのだと思う。昔は夏は嫌いだが冬は苦手では無かった。これで冬もだめになったら、最近はとくに短い春と秋しか私の活動期間はないではないか。

ゴンベン (実業之日本社文庫)

ゴンベン (実業之日本社文庫)

若い女性をリーダーとする詐欺グループの話。詐欺のストーリーは「コンゲーム」と呼ばれて一つのジャンルになっている。本来は誰も傷つけず、騙される方ではなくて騙す方に読者が感情移入できるような筋になっていて、まさに胸のすくような爽快感が売りなのだが、これはひたすら暗い。騙された方はその損失が原因で仲間から死の報復。騙した方も最後は一人一人殺されてる。後味の悪いコンゲームという異色作。


アベノミクスの賛同者ということで最近有名になった先生。タイトルはアメリカに限定した話ではなくて「デフレ・円高・不況」と20年つづく日本経済の三重苦。これの処方箋はべつに難しいことではなくて経済学の常識、欧米はすでに実行している。それがタイトルの意味。その元凶は日本銀行、いますぐやらなければならないのは大型の金融緩和。そのテーマだけで1冊の本になっている。白川総裁をケチョンケチョンにこき下ろしているが、彼は筆者の教え子だそうだ。


上杉隆の40字で答えなさい  〜きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」〜

上杉隆の40字で答えなさい  〜きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」〜

この人の言説も各方面で批判をされているよね。この本は日本の政治についての質問を40字でズパっと答えて、それの解説で章立てされている。たとえば

  国会議員の仕事とは何か?

    一年生議員は二年生議員になること。二年生議員は三年生議員になること。

  三権分立とは何か?

    日本では実現されたことのない理想的な民主主義の権力システム。実情は三権一体。

  日本が戦争放棄している理由とは?

    戦争放棄憲法上の解釈と翻訳による国内向けの見せかけの文言。実際は戦争をしている。

  日本の政治がわかりにくい理由は?

    重要なバイプレイヤーである政治記者をいないものとして報じているから。

  日米関係の問題点は何か?

    ほとんどの日本人が米国人も同じく重要なものだと思っていると誤認していること。

  地上デジタル放送への移行が実施された理由とは?

    景気対策。それとアナログハイビジョン開発でメーカーに与えた損失補填のため。

こんな具合だ。この本も、その前の本でも記者クラブ制度が招いた日本のジャーナリズムの死亡を痛烈に批判している。軽減税率の問題にしても、本当に情けない。


聯愁殺 (中公文庫)

聯愁殺 (中公文庫)

連続殺人事件で唯一の生き残りの女性が山荘に招かれ、そこに集められた作家がそれぞれ犯人を推理する。もちろん意外なラストが待っているが、これは反則ではないのか。でもたぶんもう一度読み直すと、ギリギリのところでクリアしているのだろうな。めんどくさいから読み直さないけど。


十七歳 (徳間文庫)

十七歳 (徳間文庫)

主人公は十七歳のとき友人と歌舞伎町に行きナンパをされる。ホテルに連れて行かれ、主人公は生還するが、友人はそのときから行方不明。20代後半になりタレントからエッセイストになった主人公。友人の母親からの執拗な脅迫電話。一癖も二癖もある分かれた男たち。幽霊も怪奇現象もないが、退廃的な日常と忍び寄る死。こういう本を読むからよけいに調子が悪くなるのか