8月に読んだ本

ささらさや (幻冬舎文庫)

ささらさや (幻冬舎文庫)

てるてるあした (幻冬舎文庫)

てるてるあした (幻冬舎文庫)

7月の最後に読んだ本、じつは3部作の3作目でこれが1作目と2作目。1作目の「ささらさや」は生まれたばかりの赤ちゃんを残して夫と死に別れた女性が親戚を頼って3部作の舞台になる「佐々良」に引っ越す。赤ん坊見たさに近所の暇な婆さんたちが毎日集まり主人公の家は集会場。この母子がトラブルに巻き込まれると死んだ夫が誰かに憑依して妻にアドバイスをする。ある意味、究極のアームチェアディテクティブ(安楽椅子探偵)。最終話では夫との2度目の別れが待っている。2作目の「てるてるあした」は両親が夜逃げして一人残された少女が親戚を頼って「佐々良」にやってくる。彼女を助けるのは1作目の婆さんたちとお母さん。ここでは探偵役がいないのでミステリー風味は落ちるが彼女の一筋縄では行かない成長物語。この赤ちゃんが成長したのが3作目の子どもか。うー、ここで3作目を読み返したかったがもう捨てちゃった...


Another エピソード S

Another エピソード S

映画化もされた「Another」のサイドストーリー。主人公はなんと幽霊。死んだ瞬間の記憶がない。自分はなぜ死んだのか? そこでこの幽霊と、この世で唯一、彼の姿が見える「Another」の主人公の少女が謎を解明する。ここまでだとホラーとかファンタジーだが、最後は合理的な結末が待っている。


まっすぐ進め

まっすぐ進め

若いサラリーマンの主人公と本屋で一目惚れの末、恋人になった美しいが謎の女性。彼らのまわりのちょっとした謎を主人公が関係者の話だけで解決する、これも安楽椅子探偵。最後の2編はぶっそうな話だが、謎を解くだけで犯人を逮捕するとか、そこに至った動機なりは解明されない。だってサラリーマンだもん。


スタンフォードが最初に教える 本当の答えを見抜く力

スタンフォードが最初に教える 本当の答えを見抜く力

じつに対照的な本。「数学文章作法」は数学的な論理を文章作りに持ち込んで洗練された文章を書く本だと思ったら、ただの文章の本だった。後者は数学的な論理をビジネスや実生活に持ち込んで洗練された思考をする本だと思ったら、ただの数学の本だった。つうか、よく見て買えよ、オレ。


14才に向けた読書案内。いや、いまどき14才でこんな本を読むヤツいないから。執筆陣がとにかく豪華。それぞれが極上のエッセイになっている。この本は偶然に本屋で見つけたんだけど、こういう本に出会うにはAmazonでは無理なんだよね。やはりぶらっと本屋に入り、たまたま目にしないと。それも超大型書店では本が多すぎて無理。


公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

すごく軽いタイトルだけど中身は凝ったミステリ。だが登場人物が薄っぺらいので物語の展開の割りに引き込まれないんだよなあ。最近よくある3作目あたりで一皮むけるタイプの人かもしれない。


追憶の殺意 (創元推理文庫)

追憶の殺意 (創元推理文庫)

40年前に発表されて、タイトルが変わったり加筆されたりして版を重ねた作品らしい。文学賞を獲得した新人作家、だが2作目がなかなか書けずついに自殺。それに疑問を持った男女がそれぞれ各々の動機から調査を始める。この2人、まったく面識はなく接点もない。それぞれの視点から徐々に自殺の背後に隠された事実が明らかになっていく。そうか、きっとこの2人がどこかで出会い、お互いの情報を補完して真相に迫るんだねと思ったら意外なラスト。


元気でいてよ、R2-D2。 (集英社文庫)

元気でいてよ、R2-D2。 (集英社文庫)

日常の謎の短編集。さすがに巨匠、最後の数行にオチがあるのだが鮮やかすぎて、そこに行くまでこの話のどこに謎があったのかわからない。作者のテクニックは十分に堪能でき、文章の巧さも堪能できるのだが、話として面白いかというとかなり好き好き。