1月に読んだ本

賛否両論がある著者。だがたしかにわかりやすい。そのために枝葉を切り捨てすぎる、物事を単純化しすぎるという批判はあるが、そこまでしなければ一般人が社会や政治の問題に興味を持つのは難しい。そして新聞やニュースはますます偏向が目立つ。


ラバー・ソウル

ラバー・ソウル

「このミステリがすごい」の十何位かだった。その解説に「女性を付け狙うストーカー。だがラストで明らかになる意外な動機」。てっきり女性が好きなのではなくて女性が履いているハイヒールが好きなのかとか、用心しながら読んでいったがどう考えても好きなのはその女性。どんどん偏執の度が過ぎていってラストの破局。だが...意外な動機だった。やられた。


大幽霊烏賊 名探偵面鏡真澄

大幽霊烏賊 名探偵面鏡真澄

まもなく映画が公開される「脳男」の著者。戦前の精神病院が舞台。けっこう厚い本だが、なかなか事件が起きない。怪しい人はたくさんいるのだが誰も殺されないし何も盗まれない。その割に何かの蘊蓄が長々と語られたり、入院患者の虚実が定かでない冒険談があったりで。650ページくらいある本の600ページを過ぎたあたりでやっと事件が起こるが。そもそもこれは何の話だったのかが最大の謎で驚きのラスト。タイトルにヒントがあったか。


「悪意の情報」を見破る方法 (ポピュラーサイエンス)

「悪意の情報」を見破る方法 (ポピュラーサイエンス)

統計の嘘を見破る的な本は過去に読んだことがあるが、これは「科学」そのものに潜む嘘や欺瞞を解説する。「遺伝子組み換え食品は危険」などもそれほど根拠がない。いまの農産物も人手を介して何世代にも渡って交配を繰り返しているわけで、年月をかけるかてっとり早くやるかの違いだけで危険度は大差はないと。なるほど。


溝鼠 最終章

溝鼠 最終章

これで三作目になるシリーズ物のノアール小説。主人公はとにかく悪い。それも一本筋が通った悪さではなくずる賢い。そのどうしようもない主人公が騙すのが、さらにどうしようもない人間。それを邪魔して主人公を窮地に陥れるのがさらに悪い奴。読後感が最悪のシリーズだ。


煽動者

煽動者

タイトルは忘れたが政府の転覆を地味な方法で目論む謎の集団。構成員もこの組織の全貌を知らない。前作は連作短編集だったが今度は長編。人里離れた山荘で、地味なテロ活動のためにジャガイモの芽をひたすら採取する。ところが数人のメンバーしかいない山荘で殺人が。なによりラストで判明するこの組織の正体が驚き。


日本経済 「円」の真実

日本経済 「円」の真実

ミスター円」と呼ばれた大蔵官僚の著者が語る経済に関する通説の誤り。この手の本、「日本はヤバイ」と「日本は大丈夫」のどちらかに分かれるがこれはどっちでもない。


密室蒐集家 (ミステリー・リーグ)

密室蒐集家 (ミステリー・リーグ)

密室殺人事件が起こるとどこからともなく現われて密室の謎を解き犯人を言い当てて消えていく。「密室収集家」と名乗る青年の連作短編集。だが、話は1930年代から始まって2000年まで続く。密室収集家はまったく年を取らない。これはぜひドラマ化して欲しい。「貴族探偵」のつぎにドラマ化して欲しい。それぞれの時代の町や人々の様子も描かれるだろう。これは映像向きだよ。密室の謎も大がかりな機械仕掛けではなく、なぜ犯人は密室にしたのかを糸口に謎を突き止める心理トリックなので種明かしをすれば視聴者は簡単に納得できる。謎ディナーよりこっちのが面白い。だが...ヒロインがいない。


昭和の文豪の短編に出てくる幽霊の目撃談。話自体は怖くないのだが、なにより昭和の作家の語り口がいい。


銀色の絆

銀色の絆

この作者としては異色作。浮気をした亭主と離婚しながらも娘を一流のフィギュアスケート選手にする母親。だがこの作者だからなにかヒネリがあるだろうと読み進める。話は大学生になった娘がアパートで親友と酒盛りをしながらオリンピックをめざしていた高校時代を回想する形になっている。つまり娘はいまは選手ではないわけだ。話し始めると物語は三人称になり母親目線で物語が進む。その時々で娘はどう思っていたのかがよくわからない。娘には感情移入ができないまま話は進みラストを迎える。そこまで読んでわかったよ。これはオリンピックをめざす娘の話ではなくて、母親の話なんだ。



【きょうのウェザーガールズ】 日曜日は渋谷でイベント。デビュー曲、デビュー曲のB面、セカンドシングル、そのB面。持ち歌が4曲になったウェザーガールズ。それに加えて天気予報。日曜の夕方なので、月曜日の天気。オープニングとエンディングは月曜日ガールのハイジャン。各地の最高気温と天気予報が終わった結びの一言。

     

  ハイジャン「 夕方は...う〜(忘れた)...亀が降るかもしれません 」

やだよ、亀が降ってきたら。後ろの6人は不自然な姿勢なので、ここで詰まると制止しているのがつらい...