シリーズ「阿久津真矢先生がバカを斬る」

二人とも小学校の教諭である弟夫婦に聞くと、給食費を払わない親は本当にいるそうである。しかも払えないのではなくて払わない親がほとんどだ。そもそも生活保護を受けている家庭に学童がいる場合は給食費が別途支払われる。それさえ生活費に回さなければならない家庭は別のケアが必要だ。なぜなら、子どもに必要なお金の中で給食費が占める割合は高くないからだ。給食費を払わない親が「ハワイに行くので2日ほど学校を休ませます」と電話をかけてきたときは開いた口がふさがらなかったと。
給食費を払わないなら食わせなければいいのにと思うのだが、学校的にはそれは許されない。まるで、親が自分の子どもを人質にして小銭を踏み倒しているようなものである。そういう家庭があると先生が家まで集金に行かされる。これでは先生もたまったものではない。そういう親の主張が

     小学校は義務教育なんだから給食もタダじゃないとおかしいでしょ

だ。おまえはバカか。阿久津真矢先生ならこう言うであろう。

     いいかげん目覚めなさい。

     教育は権利ではありません。義務です。

     イメージできる?

     教育にいくらお金がかかろうと親は払わなければならないの。

     なぜなら子どもに教育を受けさせるのは親の義務だからです

ただし、日本国憲法に義務教育は無償とするとうたわれており、給食も教育の内だろうとの反論の余地を残してしまう。この点は過去に裁判で争われており「無償とは授業料を意味する」との判例がある。
この給食費未払い問題の根底には「全員給食」がある。児童の全員が給食を食べなければならない決まりがあるので未払いが発生する。弁当を持参することを許せば、給食費を払わない家庭は自動的に弁当を選択したことになり、先生が集金に行くこともないのだ。どうせならもう一歩突っ込んだ解決を提案したい。学校が給食費の徴収をすることをやめるのだ。これには粗大ゴミの料金徴収のしくみがヒントになる。まず、コンピニで店名の印刷された給食券を購入する。これは1ヶ月分の給食を食べるためのチケットだ。これを20日くらいまでに学校に提出する。学校側は地方自治体が運営する給食センターにチケットを提出し、翌月の給食を用意するのである。給食センターはチケットをエビデンスとしてコンビニの本部から料金を徴収する。これなら学校側は家庭とのあいだにいっさいお金のやりとりがない。
以前に大学生の自殺の問題でも触れたが、学校は子どもの教育について学業以外から手を引くべきである。給食によって子どもになにかを教えられるとは思えない。また1週間の朝昼晩の食事を合計すると21回。そのうち、たった5回だけ栄養のバランスの取れた食事をしてどうなるものではない。残りの16回の食事を家庭でしっかり取ってなければいずれにしてもアウトなのだ。
人間としての成長に学校が果たす役割を過信してはならない。むしろ、ほとんど無いと言ってよい。給食費を払わないようなバカな親の子どもは、学校でどう教育しようがバカになる。大人は自分の生き様を見せること以外に子どもに教えられることなどないからだ。だが、バカな子どもでも成長する過程で賢い大人になるチャンスはある。その幸運があらんことをひたすら祈る。阿久津真矢先生もきっとそうだ