もう一人の景子

上の本、新書サイズで上中下の3巻。私は面白いと思ったが、人によって好き嫌いがはっきりしそうな話なのでお勧めはしない。少なくともダ○ィンチ・コードよりは面白かった。会社ではみんながみんなダ○ィンチ・コードを読んで面白かったと誉め讃えているが、これってそんなに面白いか?たしかに素敵なアイデアはいくつかあるのだが、それを骨太のストーリーにするだけの力量が作者にない。頭痛がするような論理も、謎を鮮やかに解き明かす爽快感も、胸を打つ感動も無いと思うのだが。よほど普段は本を読まない人達なのだろうか。そんなことはどうでもいい。読書などあくまでも個人の好み。他人がとやかく言う問題ではないな。
さて、私が読んだこの本「冷たい校舎の時は止まる」であるが、桐野景子という女子高生が出てくる。彼女は親が医者で、成績優秀、容姿端麗の少女なのだが、彼女のキャラクターが特異である。生徒会の委員をやっている景子は、生徒会長である男子生徒といつも軽口をたたき合っている。周りから見ると二人はいつも一緒にいるお似合いのカップルなのである。そんな彼から「そろそろ真剣に付き合ってもいいんじゃないか」と告白をされる。そのときの景子のセリフ。

     「断わるよ。お前のことは好きだ。ただ、そういうことに私は向いてない。

      色恋沙汰に自分が執着すること自体に躊躇いがあると言ったら笑うか?」

       (中略)

     「私はお前と付き合うとなったらきっとお前に執着するだろうし、

      そんな見苦しい自分に耐えきる自信がない」

なんだか、変な化粧でレッドカーペッドを歩いたもう一人の景子とイメージがやたらかぶるのである。