同じ空の下で(その4)

act8の物語としてのゴールはもちろんジェダイトを追い払うことではない。それはわかる。当初、この回の主題は父親への愛と憎しみという葛藤から身動きが取れなくなっていたレイをまことが助け出すことだと思っていた*1。それはそれで重要なポイントだが、それでは(1)〜(4)のまことのしつこいまでのお人好しぶりが生きてこない。この物語のゴールは、

     レイがうさぎの代わりにナコナココンテストに出場すること

である。番組を冒頭から見てれば簡単にわかることだったが、私は後半しか見てなかったので、最後のコンテストはただのエピローグ代わりのコメディだと思ってた。
他人から干渉されるのが何よりイヤなレイから見たら、まことはおせっかいのウザイ奴である。だが、まことは人が困っているのを黙って見ていられない。この愚鈍なまでのまことの行動がレイの心を動かすのである。学校の宿題を手伝うのさえ断わったレイが、彼女の価値観から見れば馬鹿馬鹿しい以外の何物でもないナコナココンテストに出場するまでの心境の変化が、act8の物語の底流を流れるテーマだ。
シリーズ序盤は亜美の成長物語と以前に書いたが、亜美だけではない。act3でうさぎと亜美にあなたたちを仲間と認めないと言い放ったレイもまた、亜美がレイの代わりに巫女の扮装で出動するact9、みんなでうさぎのために奔走するact14、先日も書いたact16、ダーク化した亜美を見てそれまでの自分の行動を悔やむact22を経て、act28へと至る成長物語が描かれているのである。「人は急には変われない」が、「みんな少しずつ変わって」行くのである。それを見てact28で「変わったのはルナだけじゃないか」と思うのが木野まことであるのも物語的にまったく正しい。だがルナは変わりすぎだ*2

*1:http://d.hatena.ne.jp/M14/20041219

*2:バカになってるし