スーパーマン コレクション DVDコレクターズBOX(後編)

このボックスに入っている1作目はディレクターズ・カット版。上映時にカットされたシーンが8分間入っている。その一つを紹介したい。スーパーマンの初出動のシーン、ビルの屋上に引っかかったヘリコプター*1から落ちたロイスを助け、宝石泥棒や強盗を逮捕し、ついでに木の上から猫を降ろしてあげる。劇場公開版ではその後ルーサーの隠れ家に移るが、その間にカットされたシーンがある。スーパーマンは北極の基地に戻り、マーロンブランドの父と反省会をする。以前、ヒーローの分類についてこのブログに書いた。その中でスーパーマンは現場に自ら赴く攻撃型のヒーローであり、かつヒーローを職業としないパートタイムヒーローなので非常に忙しいはずだと述べた*2。まさにこの点をスーパーマンの父が語っている。

     身元は隠しておけ。理由は二つ。

     1日28時間働かされる*3。無制限にお前は頼られ、人間は自分で何もしなくなる。

     2つ目はお前の敵がお前の大切な人を人質に反撃してくる。

スーパーマンには特定の敵がいない。世の中のすべての悪と災害が彼の戦う対象だ。だが世界は厄災に満ちている。スーパーマンがロイス一人を助けている間に、世界のどこかで数千人の人が死のうとしているのだ。これがスーパーマンだけでなく多目的型攻撃型ヒーローの永遠の矛盾だ。それについて父は重要な示唆をしている。自分でやらせろと。たしかにスーパーマンは自ら進んでヒーローになったわけではない。クリプトン星から地球に移住したために、たまたま常人を外れた力を持ってしまっただけである。なので地球の人々の役に立つべきだが、それはお前の義務ではないと父が息子に語っているのである。カットされてしまったが非常に興味深いシーンである。
なお、来年にスーパーマンの新作が公開されるらしい。楽しみである。オフィシャルサイト*4が公開されているがマークしかない(笑)主役は前回に続いて無名の俳優だ*5

*1:ヘリコプターと言えば佐藤監督。バタバタバタバタ...

*2:12月18日「攻撃型ヒーローと迎撃型ヒーロー」および1月21日「戦士の家族(後編)」

*3:クリプトン星の1日は28時間だそうである

*4:http://supermanreturns.warnerbros.com/

*5:http://routh-brandon.celebrityblog.net/