検証・これが実写版の台本だ!−act36(その8)

美奈子が重病であること、戦士として目覚めていない−つまり敵と戦うのに十分な戦力を持っていないことをアルテミスから告げられたレイである。放送されなかった病院から帰った後のシーン。

     【シーン20】火川神社・レイの部屋(夜)

     畳に突っ伏すレイ。

     レイ「何なの・・・? こんなのって・・・!」

     顔を隠し、苦しく転がる。

見たかった。苦しく転がる火野レイを見たかった。まさしく「レイのM」だ。放送中、レイの苦悩は美奈子の余命だけだと思っていたのだが、それに美奈子の未覚醒も加わっていたのである。重病人の未熟者、だけど気位だけは人一倍高いセーラー戦士のリーダー。美奈子のことが大好きなレイだから、美奈子には戦闘に加わって欲しくない。ゆっくり静養して欲しい、いや使命などどうでもいいから一縷の望みを掛けて手術をして欲しい。このシーン19、20を読んだ後でact43を見ると、レイが美奈子に言った「もう戦いには出て来ないでって言ったでしょ」「あなたをリーダーとは認めない」の重さがわかる。「血を吐くような言葉」とはまさにこのことだ。
act36以降の第4クールにおいて、うさぎ、美奈子だけでなくレイもまた悩める主人公だったのだ。なにしろ、アルテミスはレイに相談できるが、レイには相談できる相手がいない。いないとは思えないのだが、一人で抱え込むのがレイの強さであり弱さだ。この一連のシーンが放送されていたら、我々は第4クールを通じて火野レイと思いを共有できたのに。act40で美奈子の芸能界引退を引き留めた心意気、act46で美奈子が手術を受けることに決めた喜び、そしてact47で「ひ゛な゛こ゛〜」と泣き叫ぶ火野レイに共感できたのにと残念でならない*1

*1:泣き顔は北川景子が女優になるための課題である