検証・これが実写版の台本だ!−act36(その7)

病院に呼び出されたレイは美奈子から衝撃の事実を聞かされる。ここは放送どおり。放送ではその後、うさぎと衛のデート、次にダークキングダムになるのだが、台本ではその間に衝撃のシーンがある。

【シーン19】病院・前(夕方)

レイが重い足取りで出てくる。とアルテミスが追ってくる。

アルテミス「マーズ」

レイ「アルテミス・・・」

アルテミス「美奈子を助けてやってくれ。戦いでも。勿論、プリンセスが一番大切だけど・・・」

レイ「わかってる」

アルテミス「・・・美奈子は前世の記憶は完全だけど、本当は、戦士の力には目覚めてないんだ」

レイ「!」

アルテミス「病気のせいかもしれない。隠してるけど・・・」

レイ「・・・・・」

アルテミス「・・・じゃあ」

戻っていくアルテミス

なんと、台本にはこんなシーンがあったのか。act43でレイの口から出た美奈子未覚醒説はレイの推論だとばかり思っていたが、act36でアルテミスから聞かされたことだったのか。たしかにあのシーンは唐突だった。
act35のカットされたシーンでの美奈子とアルテミスの会話や、このシーン19を見るとアルテミスの苦悩がわかる。act46で美奈子に

     愛野美奈子は君が思っているほど弱い存在じゃない

と言ったアルテミスだが、そういうお前ほど弱い存在はない。なにしろ美奈子に使命を全うさせることを除いたら、ただのぬいぐるみだ。現世での存在価値など皆無なのだ*1。そのアルテミスにとっての存在理由である美奈子は、戦士として目覚めてない上に重病、下手をしたら他のセーラー戦士の足手まといになりかねない。だが使命を全うすることは余命幾ばくもない美奈子が現世に生きた証を刻むことでもある(と美奈子は思っている)。そこで使命の遂行の障害になりかねない頼みをレイにしているのである。このセリフを読んだら急にアルテミスのことが好きになってきた。ぬいぐるみはまだ買えるのか、トイザラスに在庫があるか。「ヴィーナス」に頼まれてレイを呼びに行ったアルテミスは、帰りに「美奈子」のことをレイに託したのである。
(つづく)次回の更新は土曜日です

*1:目玉焼きを作ることはできる