「セーラームーンの想ひ出」まとめと言い訳

3週間に渡って実写版についてグタグタ書いてきた。随所でアニメ版と比較をしているので、私が原作やアニメを批判していると思われたら、それは誤解である。アニメ版セーラームーンは一つの時代を作り世界を席巻した傑作である。セーラームーンがきっかけで日本に興味を持ったフランスやドイツの少女達は少なくない。初めて覚えた日本語が「おしおき」である。また数々の亜流が生まれ少女ヒロインアニメのプロトタイプとなり現在のプリキュアにつながっているのは疑いようがない事実だ。
実写版美少女戦士セーラームーンを製作する苦労は、多くの人がストーリーをすでに知っている偉大な作品を、さらに数々の制約条件の中で作らなければならなかったことだ。

     -アニメに対して実写が持っている構造的な制約*1

     -生身の人間が演じるための制約*2

     -限りある撮影時間*3

     -ルックス・スタイル重視で選考したキャストの演技力*4

     -顔出しのアクションシーン*5

     -アニメより下がる対象年齢層の理解力*6

     -予算の制限*7

同じ物が作れないなら基本設定だけ残して書き換える。それも東映が作りやすいように戦隊物のパラダイムに沿って。小林靖子や5人の監督および東映のスタッフが残した仕事の足跡をたどっていくのが「セーラームーンの想ひ出」の目的である。けっして実写の方がアニメより優れていると言いたいのではない。実写版とアニメ版は表現形式が違うのだから、どちらが優れているかなど比べられない。同じ乳製品でもクリームシチューとアイスクリームの優劣を比較する愚と同じだ。あるのは見る人それぞれの好き嫌いと、素材の調理方法を論じることだけだ。そして「セーラームーンの想ひ出」はまだ続くのである。*8

*1:びっくりしても目玉は飛び出さない、喧嘩をしても煙は出ない、ルナはちょっとしか動かない

*2:アニメのようにレイとうさぎが喧嘩をしたら不快、惚れっぽいまことはいやらしくなる

*3:24時間は働けない、学校にも行かなければならない、ほかの仕事もある

*4:でも小松彩夏の棒読みは、慣れると癖になる麻薬だ

*5:12/20〜22「進化する戦闘シーン」参照

*6:これを気にしたとは思えない。実写版はどういう年齢層をターゲットにしていたのか、いまだに謎である

*7:実はこれが一番大きかった。デカレンジャー仮面ライダーウルトラマンネクサスと比較すると予算の少なさは一目瞭然である

*8:まだ続けるのか?