冬のビデオまつり「パッセンジャー」「トゥー・ラビッツ」

有名、無名を取り混ぜて5本。

【1,500円】 ジェニファー・ローレンスって、この作品はまあ普通の人だが「アメリカン・ハッスル」では観客100人中、100人が「頼むから死んでくれ」と思うほどイヤな人の役だったし、私が三大胸糞映画に入れている「マザー!」の主役をしている。アカデミー賞を何度も獲っているのに立派。これが大女優の生き様だよ。この映画、あらすじを知っている人も多いと思うが、別の天体に移住する人5,000人を乗せたロケット。120年の旅なので全員が冷凍睡眠になっている。ところが事故が原因でわずか30年で目覚めてしまった男の話。じゃあ、ジェニファー・ローレンスはなんなんだってことだけど、これはネタバレになるのかな。主人公は最後の方でこのままだと爆発してしまうロケットを命がけで修理して、いわば「結果オーライ」なんだが、彼の行為は許されることではないので400円マイナス。

【1,000円】 三池崇史監督が撮ったホラー映画ってことで興味があり、レンタル落ちを安く売ってたので取り寄せてみた。これはホラーというより不条理コメディだな。この手の不条理物の不気味さってギャグと紙一重なんだよね。曽根秀樹演じる主人公はヤクザなので喜怒哀楽を抑える努力をしていることが、この紙一重を保っているように思う。最近のホラー映画って観客がびっくりする前に登場人物が「ギャー!」って言ってどっちらけになるでしょ。この設定って応用できるよね。

【1,700円】 なにこれ? 知ってる俳優は一人もいないし、監督は「ツングースカ・バタフライ」の人か。殺人を犯し捜査の目から逃れている人を探し出し、自由を与える代わりに殺し屋にしたてる組織がある。両親を殺した青年と、父親の復讐のために人を殺した女性の物語。超低予算で俳優の演技はいまいちながら意外にも最後まで見られた良作。ラストが月並みすぎて200円マイナスにしたが、ぶっ飛んだ話ってラストが難しいよね。

トゥー・ラビッツ(字幕版)

トゥー・ラビッツ(字幕版)

  • フェルナンド・アルヴィス・ピント
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【1,900円】 タイトルは2匹のウサギ。ウサギだから2羽か。日本語だと「二兎を追う者・・・」で悪い意味だが、ここでは「一石二鳥」と良い意味。腐敗した政治家と傍若無人なギャングの両方に怒りを覚える主人公。両方をいっぺんにやっつける作戦を遂行する...作戦の全貌や、誰が主人公側の人間で誰がターゲットなのかが最後の方までわからないのがよく練られたストーリー。また、「え?」という出来事があると過去に戻りそこに至った経緯が描かれる。この現在と過去の行き来もコミックっぽい演出でわかりやすく作られている。ラストは意外だったが、主人公の原罪を救うにはこのラストしかなかったか。

【1,000円】 人気シリーズ「SAW(ソウ)」の新作。タイトルのとおり完全な新章だが、いろいろダメだった。これなら「ソウ」のシリーズにしない方が良かったのではないかな。まずは「ソウ」シリーズ独特の演出がないのが物足りない。だがこれは新しいシリーズだからってことでも良い。被害者は前シリーズ同様に、命が助かるには苦痛を選ばなければならない。だがこれが懲りすぎて痛みが想像できないので怖さが半減している。では独立したミステリー映画として見ればどうかだが、重要なトリックに大きな反則があるのだよ。これが戦前の話とか、南海の孤島で起きた事件ならよいが、現代の鑑識技術なら見破れないはずがないトリックなので、観客はその可能性を除外して犯人を想像しているので、これはずるい。逆に前シリーズがよくできていたのを再認識させられた作品であった。