8月から10月に読んだ本

銀行、交通、旅行、文系の大学生が入りたい会社の上位に来る業種がこんなことになるとはなあ。まあ、もう上がり目の無い銀行は別として、交通と旅行は一時の辛抱だと思うけど、その一時がいつまでかだな。あとミクロで見ると、たとえば我が家の「えりそで用の洗剤」がまったく減ってない。私がワイシャツを着て出勤してないからだ。そう考えるとクリーニングも大打撃だと思う。同じく書籍だって2月までなら3か月もあれば20冊は読んでいたのにたったこれだけという。ただ本はもっぱら家で読むという人は読書量が増えたはずなので、合計するとトントンなのだろうか。

 これは古い本だよね。クイズ集で、表題は「ある男がレストランでウミガメのスープを飲んだら号泣した。それはなぜか?」。もちろん死ぬほどまずかったからではないよ。正解できたのは数問だけだった。その数問は答えが一つに定まる問題。あとは「これって別解が無数にあるんじゃねえの?」というもの。それをインチキだ、と言うのではなくて、「正解は誰にもわからないが、もっとも納得できる、あるいは納得できる人がもっとも多くなるような答え」を探すのが本書。世の中にはそっちのが多いのではないか。

 知っているものがほとんどだった。ただこれを知っていると新聞やテレビに出てくるグラフのどこをまずチェックすれば良いかがわかるので、この分野が未読の方にはお勧めする。逆にこういうグラフを作ってはならないというグラフを作るときの「べからず集」として役に立つ。

キリの理容室

キリの理容室

  • 作者:上野 歩
  • 発売日: 2018/05/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 ひさしぶりに読んだ文学書。私が好きなお仕事成長物語。自分と父親を捨ててほかの男の元へ行ってしまい理容室を開業した母親。その母親に復讐するためには自分がもっと繁盛する店を出して潰してやる。そう誓い理容学校を卒業した主人公。だが学校時代の成績はあまり良くなかった。学校の先生の勧めで就職したのは母親が独立するまで働いていた店。お婆さんが一人でやっている。このお婆さん、なにも教えてくれないしお客さんを任せてもくれない。先生に勧められてエントリして市の理容コンテストでは48人中47位...これは面白かった。いつも行っている床屋を見る目が変わったよ。終盤では自分の店を持つのだが、そこに行くまでの紆余曲折、3歩進んで2歩下がるぶりがいい。主人公はカットは下手だがシェービングには抜きん出た才能がある。私はシェービングの途中でいびきをかいて寝てしまうことがあるが、あれは理容師からするとうれしいことなのだそうだ。

怖い話を集めたら 連鎖怪談 (集英社文庫)
 

 売れない作家の主人公、いよいよ金が無くなって家賃の支払いもあぶなくなってきた。そのとき実話怪談集の企画が持ち込まれ、怪談なんか書いたことがない主人公だが生活のために引き受ける。編集者から紹介された人の話を聞いて短編にまとめる。だが、なぜか呪いに関する話ばかりで、主人公も呪いに絡め取られていく...これはドラマ化や映画化にもってこいの話だと思うな。長さもちょうど良い。

歩道橋シネマ

歩道橋シネマ

  • 作者:恩田陸
  • 発売日: 2019/11/20
  • メディア: 単行本
 

 てっきり「鉄塔武蔵野線」みたいな話で、歩道橋を巡る話だと思ったらぜんぜん違った。数年間に単発で発表した短編を集めたもので、ジャンルもミステリー、SF、ホラーといろいろで、短めの短編というか長めのショートショートで万人にお勧めできる。有名な長編のスピンオフなのか、この短編を膨らませて長編にした作品もあった。