泉里香「記憶屋」

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泣ける映画なのかと思ったのだが泣けなかったよ。心の中に「感情タンク」があると思うんだ。そこに感情が貯まって100になると笑ったり怒ったりする。たとえば「君の膵臓」だと葬式の1ヶ月後にやっと少年が彼女の家に行くだろ。そこでお母さんから日記を渡される。少年が日記を読むと、彼女の目から見た物語が語られるわけよ。そこでもう感情タンクが100に行っちゃってて表面張力でどうにか保っているところで少年が「泣いてもいいですか。エグッエグッ」と来るので涙腺が崩壊するわけよ。ところがこの映画、感情タンクが70くらいのところで山田が泣くから観客はスーッと覚めて感情タンクが30くらいに下がっちゃう。がんばっているのはわかるが、芳根京子佐々木蔵之介杉本哲太と上手な役者をそろえすぎてどうしても差が目立っちゃうんだな。あと原作がどうなってるのか知らないけど、映画の中盤で「記憶屋はこいつだよ、こいつ」というカメラワークになっている。それが無ければ最後の最後まで正体を引っ張れたと思うのになぜわざわざバラすかなあ。

泉里香は「海月姫」の稲荷さんや、「QUEEN」の名前は忘れちゃったけどあの人と同じくらいの位置づけ。名演技をしようとしても無理な役柄だったがとにかくやりきった。危なげない芝居だった。全体的に期待外れだったが大きいスクリーンで泉里香が見られたのは良かった。