北川景子「西郷どん」

昨日の地上波は台風情報のため放送中止だった。だが見逃し配信はアップされているんだよね。幾島に導かれ江戸城に入った西郷。

     

     西郷「お懐かしゅうございます」

     篤姫「よい。頭を下げねばならぬのは私の方じゃ」

     

     篤姫「西郷、頼みを聞いてくれ」

     西郷「慶喜公のお命乞いでございますな」

     (首を横に振る天璋院篤姫

     

     篤姫慶喜殿の首一つで、この戦を終わらせてくれ」

     

     西郷「慶喜公の御首(おんくび)を差し出すと」

     

     篤姫「そなたがいまもっとも望んでいるものであろう」

     
幾島が、天璋院は西郷にこのことを伝えるために城から逃げなかったと伝える。たしかに城の中はがらんとしている。もともと篤姫が輿入れしたのは慶喜を将軍にするため。

     

     篤姫「我らは慶喜を将軍にと働いておったのに、いまでは共に亡き者にしようとしている」

     

     西郷「まっこて時の移り変わりというものは非常なものでございますな」

     

     篤姫「しかしながらこの始末は自ら付けねばならぬ」

     

     篤姫慶喜殿が死してのち、私も自害する覚悟じゃ」

     

     篤姫「西郷、最後の頼みじゃ。私と慶喜殿の命は差し出す故、どうか徳川家だけは救って欲しい」

     

と、ここまで書いて先を続けるのが空しくなった。キャプチャーを貼ってセリフを転記してもこのシーンのすごさは到底つたわらない。鈴木亮平西郷と北川景子天璋院の見ているこっちが思わず息を止めて見入ってしまうようなやり取り。セリフとセリフの間の取り方、BGMの豪華さ、カメラワークの巧みさをどうやって私が伝えられるというのだ。土曜日に再放送があるのでぜひ見て欲しい。北川景子の最高傑作だ。ここから後ろのシーンを見れば、史実から大きく改変された篤姫を演じているのがなぜ北川景子であるか納得できるはずだ。この篤姫宮崎あおいでも菅野美穂でもだめだ、北川景子でなければ。ありがとう、NHK。ありがとう、林真理子