炎の16番勝負−2本目「500ページの夢の束」、3本目「MEG ザ・モンスター」

     
主役はダコタ・ファニング。「アイアムサム」や「宇宙戦争」で天才子役と呼ばれた彼女も24才のお年頃。この映画では自閉症の少女。両親を早くに亡くし母親代わりの姉に育てられるが姉の結婚と出産で一緒に住めなくなり施設に預けられる。なぜ姉は自分と住んでくれないのか主人公はわからない。「スター・トレック」が大好きな彼女、賞金10万ドルの脚本コンテストに応募するためにストーリーを考える。この10万ドルがあれば姉はもっと広い家に引っ越して自分と住んでくれるのではないかと思っているのが哀れ。やっと脚本が完成するが日曜日と祝日を挟んでいるのでポストに投函しても締め切りにまにあわない。施設から毎日、勤め先のパン屋に行くだけでやっとの彼女だが、数百キロ離れたハリウッドまで原稿を持って行くことを決意する...この旅が予告編で見たのより波瀾万丈で、お金を取られたり、乗っていたバスが交通事故で病院に担ぎ込まれたり。施設の人と姉がいなくなった彼女を探しに来るが、保護されると脱走するのでなかなか捕まえられない。スター・トレックの豆知識が随所で重要な役割を果たすのが楽しい。登場人物がみんな魅力的な佳作。


     
ポスターは嘘。こんなにはでかくない。監督をはじめスタッフは全員アメリカ人、役者の9割もアメリカ人のアメリカ映画なのだが、なんと中国資本。そのためか、登場人物が東洋人の目から見たいかにもなアメリカ人でこんな奴いまどきいないだろうというステレオタイプさが気になった。物語は我々が海底だと思っているのは実は底では無い、空の雲みたいな物で、その下に人類が見たことがない深海が存在する。その調査に行った潜水艇が我々が知っている海には存在しない巨大なサメと遭遇する。悪いことに潜水艇が空けた海底の穴からそのサメが出てきてしまう...よくある巨大サメ物かよとあまり期待しなかったのだが、アメリカのスタッフと中国資本が組み合わさるとなかなかどうして、次から次へと見せ場があって最後まで飽きない。ただ、ステレオタイプさがいちいち気になるのが難点。とにかく中国資本の怖ろしさよ。最後の方の海水浴場にサメが来るシーンでのエキストラの数が半端ない。これを見てしまうともうスペクタクル映画で日本の出番はないなと思った。