残暑の映画まつり「累(かさね)」

芳根京子ちゃん見たさに映画館に行ったが、思ったより良かった。累(芳根京子)は頬に大きな傷がある。演劇界のスターだった母親の形見の口紅。これを塗って誰かとキスをすると12時間だけその人の顔になれる。もう、ありえねーって話なんだけどそこは受け入れるしか無い。ニナ(土屋太鳳)は演技はヘタでタカピーだがマネージャーの羽生田(浅野忠信)の力でそこそこ人気がある舞台女優。母親の秘密を知っているマネージャーが娘の累の才能を見抜いて、累をニナの顔にして売り出そうとする...オーディションを受けて舞台に立つのは累の方なんだが、見かけはニナなので、結果的に芳根京子の出番は少なめ。この二人の演技、やはり芳根京子は別の次元。ただ、いままで青春ラブコメディーの優等生のヒロイン役ばかりだった土屋太鳳、この映画ではニナ役のときは性格の悪い高飛車な女性、累役のときは普段はオドオドしているが演技のときは役に憑依する天才女優の二役。天才女優って感じはしなかったが、それでもいままでと違った役をやるのは良いことだ。もっといろんな役をやって演技の幅を広げて欲しい。クライマックスのサロメの舞台、さすがに高校の演劇部の発表会の域を出なかったが、遠景を最小限にして、ハンドカメラで舞台の土屋太鳳を追いかける手法は実写版セーラームーンの戦闘シーンと同じテクニック。途中で見せるダンスはさすが。最後の最後でちょっとだけ芳根京子が舞台で叫ぶシーンがあるのだが、ここのセリフと表情の上手さはさすが。この二人、それぞれベッドで仰向けに寝ているシーンがあるのだが、同じメイクをして同じ表情をすると似ているのに驚いた。ラストはいろいろあって、この二人はこれからどうするんだろうと思わせながらも舞台の終演とともに映画もスパっと終わるのがナイス。芳根京子ちゃんの安定の演技と、土屋太鳳ちゃんの新境地を見たい人にはお勧めする。