真夏のビデオまつり

関東地方は早々と梅雨が明けちゃったのでニュースを見ると同じ国のことと思えないような光景だが、災害地域の方にはお見舞いを申し上げます。今回は昨年に封切られて単館上映だったため時間が合わなくて見られなかった映画。
      1,500円
Amazonプライム・ビデオの週末100円セールにこれが入っていたときは目を疑ったよ。田舎からモデルになりたくて都会に出てきた14才の女の子。友だちに撮影してもらった写真を出版社だかモデル事務所だかに送って面接を受ける。彼女を一目見てその美貌と磨けば光る可能性で有名写真家に紹介。その写真家も一目惚れしてガチの撮影を始める。オーディションを受ければ常連のモデルを押さえて合格、彼女はスターの階段を上り始める...このあたりまでは予告編でわかっていた。予想されるこの先の展開は、主人公の立身出世の物語になるか、あるいは調子に乗りすぎて転落する話かのどちらかになると思ったのに、どっちも違った。つうか意表を突きすぎでしょ。この映画を通じて訴えたかったことって何なんだよ。映像は独特のものがあった。黒と赤を基調とした無機質な画面はひたすら冷たく、この物語が悲劇で終わることを暗示している。またBGMや挿入歌もかっこよくて映像作品としての完成度は高い。主人公は「パーティで女の子に話しかけるには」で異星人の女の子をやった人だよね。たしかに可愛いのだけど、どちらかというと素朴で親しみやすい美少女でこの映画のイメージとは違う。あと話の展開上、最後の20分くらいは主人公は出てこない。これは順番を入れ替えて、先にエピローグがあり、なんで主人公がいないの、あれはなに?と思わせといて、時間を戻してクライマックスのシーンにした方が良かったと思う。


      1,800円
なかなかプライム・ビデオに出てこないのでDVDを買っちまったぜい。そのくらい気になってた作品。一人旅をしている中年の女性。行く先々で電話をかけている。直前まで務めていた美容院のオーナー、小学校の先生、高校の友人に電話をしてお世話になりましたとか、あのときはごめんねと話している。彼女はいったいなにをしているのか、この電話が終わったときどうなるのか...それは20分を過ぎたあたりから徐々に明らかになっていくのだが、その前に想像できてしまう。10人に電話をかけることになっていることがわかるが、10人目で何かが起こり彼女の意思が変わることも想像できる。その先のサプライズも直前で想像ができてしまう。その点ではありきたりで陳腐なストーリーと言えなくもない。だがこの作品に1,800円を付けたのは映画としての完成度がじつに高い。カット割り、各シーンにかける時間、場面構成が良くできている。監督はアクション映画専門の監督で、この作品が初めてのハートウォーミング系だと公式サイトに書いてあったがなかなかの力量だと思う。また映画の半分は電話をしているシーンだが、ほとんど動きのないシーンを単調にしない主人公をはじめ役者の演技も素晴らしい。この映画、知っている役者が誰もいない。エンドロールを見たら「長谷直美」とあったが、40年後の長谷直美がどの人なのか最初に見たときはわからなかったよ。