秋の映画まつり

あまり話題になってない邦画を3本。まずはこれ。
     
宮崎あおい橋本愛が親子役。って、ちょっと無理だろう、年令差が。宮崎あおいは娘が10才のときに死んでしまうので大丈夫なのだ。母は娘に10通のバースディカードを残す。それを毎年1通ずつ、20才になるまで父親が娘に渡す。これって「天国からのビデオレター」と同じ設定じゃないか。だがこのバースディカード、マフィンの作り方とかファーストキスの準備とか軽いものもあるが、母の生まれ故郷の小豆島に行くとかボランティア活動をするとか重いミッションもあって、次第に娘は反発をするのが新しい。ついに20才の最後のバースディカードを開けて、小さいころに娘が母親に投げた意地悪な質問の答えが書いてあって感動のラスト...かと思ったらまだ続く。お母さんとは関係ない、クイズ番組に出場する話になるのだが、これは必要か? ラストは幼なじみとの結婚。ここで意表をつく仕掛けがあった。これは泣いちゃうよ。宮崎あおいは、普通に宮崎あおいを演じているという通常運転。だがこの役に限ってはそれがうまくハマった。橋本愛はどんどんでかくなっている。それもモデル型のでかさじゃなくてバレーボール選手型のでかさ。観て損は無い佳作。
     
ミムラ比嘉愛未佐々木希の三姉妹の話。アル中で行方不明の母親が久しぶりの鈴木保奈美。祖母が華子様のお母様。その裕美お母様の葬式から物語が始まる。てっきり遺影だけの登場かと思ったら回想シーンでやたら出番が多い。佐々木希より出番が多い。華子様と一緒にバラエティ番組に出ているときは初老のおばさんだが、さすが大女優。スクリーンの中だとお婆さん役でもぐっと若返りいまでも美しい。この三姉妹、写真だったら佐々木希>>比嘉愛未>>>ミムラだろ。だが映画だと女優とモデルの差が出て、比嘉愛未ミムラ>>佐々木希になるからすごい。ピアノ曲「カノン」が映画のキーアイテムになっていて、ラストは比嘉愛未の披露宴で三人がピアノの連弾をする。この映画、映画としての物語の進行というか構成が素晴らしい。ラストはハッピイエンドにはなるのだろうなと予想はするのだが、あくまで小さじ一杯の砂糖に留めているのが良い。さらにラストシーン。その小さじ一杯の砂糖を入れている途中、カメラは「カノン」の曲に反応を見せた母親に気づいた佐々木希の表情をとらえ、ミムラのアップをとらえ、最後に比嘉愛未に切り替わったところでブチッと切れて暗転。こんなことされたら、たいていの人は比嘉愛未のファンになっちゃうよ。ミムラ比嘉愛未佐々木希、裕美お母様の誰かが好きだったら必見だ。鈴木保奈美のファンは見ない方がいい。
     
本田翼と山本美月のダブル主演。しかも高校生役。さらに二人とも過去の出来事で屈折している。これはミスキャスト。「カノン」の佐々木希ミムラ比嘉愛未、さらには裕美お母様に囲まれているので、ちょっとダメな末娘としてむしろ自然だった。こっちの映画、普通の女優+本田翼、名女優+山本美月なら良いのだが。原作は湊かなえ。いま調べたら私が読んだのは7年前なので筋はまったく思い出せないが、こんなややこしい話だったかな。並行して進行するエピソードにかかわる人物が、ラストでどんどん関連性が明らかになり一つにまとまっていくのだが、なんかミステリーとして話が収束していくときの爽快感が無いんだよな。主演を森川葵橋本愛でもう一度見てみたい。