北川景子「探偵の探偵」レポ・補足

Leo16さんとネタがかぶらないように昨日の記事から抜いた部分。放送日の記事のコメント欄で教えていただいた納豆の部分の原作の記述。

  いまだ侵入を許していないが、もう一刻の猶予もない。

  玲奈はメスの先端に軟膏を塗り、ヒスタミンをかけ、粉末をまぶした。

  最後に納豆を刃にこってりと塗り付ける。

これを読むとつぎに「カラシはどこ?」と言ってもいいような時間の流れだが、ドラマはまったく違う。ここにドラマの山を持ってくるようにした脚本あるいは演出がなかなか優れている。静止画を紙芝居的に貼り付けてもよくわからないと思ったので、ここだけ切り出した動画をアップしておいたよ。削除命令が来るまでの命だが、ドラマを見なかった人は見てみて。
     
一刻の猶予もないどころか1行目でバリケード突破。2行目で部屋に入ってきている。怯えるトッキュウジャー5号のアップが緊迫感を増している。そして犯人が北川景子に向かって突進したところで3行目。メスに納豆を塗る、振り向く、犯人の肩に刺す、これを一つの動作でやっている。いいじゃないか、いいなじゃいか。そりゃあ活字より映像のが緊張感は高くなるだろうと思う人もいるかもしれないが、そんなことはない。この映像を活字で表現するのが小説家というものだ。伊坂幸太郎の「マリアビートル」で新幹線の車内での格闘シーンがあったが、あれなんかすごかったぞ。殺し屋と主人公の戦いだが、殺し屋は身体中に殺気をみなぎらせて襲ってくる。それを主人公は狭い車内で飄々とかわしながら、わずかな隙を見つけて反撃をする。あれを映像化しようとするとスピーディーな動きの中で「殺気」と「飄々」を表現するのが逆に難しいわけよ。
いいなあ、「探偵の探偵」。ドラマ化の第一報を耳にしたとき、「だいじょうぶか、北川景子。原作は松岡圭祐だぞ」と思ったが、脚本家と演出家はそこは十分承知の上でやってたんだな。ほぼ原作どおりの脚本だが、これを元にノベライズ本を出したら原作を超えるのではないか? これからも「探偵の探偵」から目が離せないぞ。