夏の映画まつり「南風」

今年の早い時期に、封切られたら観に行こうと予定していたいくつかの映画はこれで最後。日本と台湾の合同作品で、ストーリーはこれといったものはなく、ほぼ台湾の観光ガイド。黒川芽以演じる主人公は女性ファッション誌の記者。
     
仕事ではファッション部門から企画部門に不本意な異動。私生活では恋人に振られ散々な状態で台湾で開催されるサイクリングイベントの取材に来る。彼女は台湾の地理も言葉もまったくわからない。現地に住む友人をあてにして単身で台湾に来るがその友人が妊娠していて頼めない。レンタルサイクルで立ち寄った自転車屋の娘がファッションモデル志望。主人公は自分が知っている雑誌の人だとわかると急接近。さらにファッションモデルのオーディションが行なわれる場所が、主人公の目的地とわかりガイドを買って出る。かくして言葉が通じない女性二人の自転車の旅が始まった...
台湾は競技用自転車が世界シェアの8割だかで、全長2,000kmのサイクリングロードの整備をしているそうだ。台湾の自然風景はもっと南国っぽいのかと思ったが、日本にそっくり。異国情緒が感じられないほど日本に似ている。ラストは1年後に四国のしまなみ街道で開催される自転車レースで二人が再開するところだが、台湾と見分けがつかない。ウェザーガールズのミニちゃんたちはどういう目で日本を見ていたかがちょっとわかった。見ていたかって、過去形になっているのがすごく悲しい。日本が統治をした過去があるにせよ、これだけ国土が似ていたら日本人と台湾人は似るよな。主人公と台湾の娘がよく喧嘩をするのだが、「おばさん!」とか「ブス!」とか相手を罵倒する言葉だけは通じるのが笑い所になっている。前半の二人の掛け合いは面白いのだが、マイナーな映画にありがちなことでクライマックスに向けた話の盛り上げ方が下手な脚本。あと台湾の娘、向こうでは有名な人らしいが台湾とアメリカのハーフだそうで、エキゾチックな顔なんだよな。
     
ニューニューみたいな、もっと台湾っぽい可愛い子のがよかったのではないかと。あと、映画館がちっちゃい。私の会社の会議室より狭くてどうする。もっと大きな画面で見たかったよ。それでも抜けるように青い空の下で疾走する自転車。全編、爽やかな風を感じる良作であった