「小さなおうち」

これも良い映画。原作を読んだのは数年前。だいたい小説を読んでから映画を観るとがっかりするが、これはなかなか。淡々と書かれている小説は映像で味付けするのにいいのだろう。なにより主役の黒木なんとかがいい。田舎から出てきた女中さんにぴったり。これが宮崎あおいとか綾瀬はるかだったら絶対に感情移入できない。ましてや剛力や武井だったら無理。若奥さんの松たか子も良かった。この人、きれいな人だとは思うけど絶世の美女ではないでしょ。また演技も素晴らしく上手な人でもないんだよね。だがそこがまた役にぴったり。これが配役というものだよな。人気俳優ばかり集めるのは配役ではない。
映画が始まっていきなりびっくりしたよ。妻夫木が出てんじゃん。そうかこの役が妻夫木か。つうことは出番が多いよな。1月に2本も妻夫木の映画を観るとは。どんだけ妻夫木が好きなんだよオレ。この妻夫木の会話の中で、原作からカットして欲しくないものがあったのだが、そこはちゃんと作品のもう一つのテーマになっていた。ありがとう、山田監督。
ただちょっと残念だったのが、予算がなかったのか時間がなかったのか、戦前の昭和の町並みが描かれていないので時代を感じないんだよね。もしかすると、その時代からこの家を切り離すのが目的だったのかもしれないけど。あと、原作のラストを忘れてしまったのだが、主人公がある行動をしなかったことが主人公の死後に妻夫木によって明らかにされる。その主人公の動機はそのままの意味で良かったんだっけ。最後の海岸のシーンで「サキさん(女中)とお似合いだと思ったんだけどなあ」のセリフから別の動機を想像したのだが、それは考えすぎ? 誰か原作を覚えている人がいたら教えてちょ