復活映画まつり「コリーニ事件」

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行ってきたよ、3か月ぶりの映画館。TOHOシネマズも宮崎アニメをやってたりまだ本気を出してないでやんの。どこかないかと探したら新宿武蔵野館。なんと喫煙室も健在だよ。ありがとう。席は一つおきなので3月と同じだ。この前、娘がアニメを観に行った新宿ピカデリーは三つおきなのでまだまし。平日なので老人ばかりだよ。でもこの人たちはコロナに罹患したらすぐに発病して死んじゃうので*1、この映画館に来ている人は保菌者ではないと思う。さてこの映画だが、原作を数年前に読んで面白かった記憶がある。映画はどんな仕上がりかと思ったが、これは正解。よくできた映画だった。原作の重い雰囲気を壊さずに、ちょっと淡々としすぎている主人公にもっと人間味を与え、彼と敵対する人たち、彼を助ける仲間たち、それぞれキャラが立っていて原作を超えたかどうかは人それぞれの判断だが、少なくとも原作を読んでいる人に失望を与えない良作だった。舞台はドイツ。トルコ移民の主人公が弁護士を開業して3か月目に国選弁護人を引き受けたのが殺人犯。罪状は疑う余地がないのだが動機がわからず被告はなにもしゃべらない。引き受けたあとで初めてわかったのが、彼が殺したのが移民の自分を引き取って大学にまで行かせてくれた恩人だった。被告と話ができないまま、何の作戦も立てられずに公判が始まる。その後に判明したわずかな糸口。主人公は1週間の休廷を願い出るが4日間しかもらえなかった。その4日間でどこまで真実を明らかにできるか。事件の鍵はイタリアにある。ドイツ語とイタリア語が話せるピザ屋のアルバイトの姉ちゃんを助手にして、膨大な資料を読み解くために本屋を営む実の父親に助けを求めて、主人公の挑戦が始まる。だが隠された真実はドイツの闇を暴くものだった...このパンクな姉ちゃんや父親が意外に有能なのが後半の重苦しい展開の清涼剤になっている。ドイツやイタリアの風景も美しく、BGMの使い方もうまく、役者もみんな上手。上映は全国で10箇所も無いのがちょっともったいない映画。

*1:そこまでではないと思うぞ