4月に読んだ本

届け物はまだ手の中に

届け物はまだ手の中に

リスの窒息 (朝日ノベルズ)

リスの窒息 (朝日ノベルズ)

古本屋で買った石持浅海2冊。「届け物はまだ手の中に」は恩師の復讐を友人と誓った主人公。復讐を遂げた主人公は敵の生首をバックに入れて、変節してしまった友人宅に行く。ところが奥さんと秘書はなかなか旦那に会わせてくれない。かといって追い返しもしないで、娘の誕生パーティーに参加。気になるのはバックの中の冷凍した生首。なぜ旦那に会わせてくれないのだ。この家で何が起こっているのだ...ここまで書くと答えは一つでしょ。でもこの作者が書く話だから。「リスの窒息」は狂言誘拐を企てる女子高生。誘拐されたのは自分、脅迫する相手は新聞社。警察に届ければ一発で解決するはずが、保身に走る新聞社のため事態はどんどん混迷を...どちらもミステリーの枠組みに挑戦し続ける作者の野心作。


賛否両論ある筆者だと思うが、マスコミや有識者の意見やデータがいかに嘘っぱちかを論破し、西欧型の「正義」や日本型の「空気」に流されないことの大切さが語られる。なかなか胸がすく本であるよ。喫煙者は読むべし。


寡作で有名な著者の久しぶりの長編。家族を捨てて失踪した父親、植物人間状態の母親。3人の兄弟はひたすら貧しく、父親が残した莫大な借金を返すため非合法組織から請け負った覚醒剤の調合をしている。ただただ兄弟が気の毒で陰鬱な話が続く。この話の落としどころは何なんだ? なんと、ラストで上下巻2冊の話がすべてひっくり返る。これはミステリーだったのか。まいった。


幸福な広告―CMディレクターから見た広告の未来

幸福な広告―CMディレクターから見た広告の未来

著名なCMディレクターの筆者が語る広告やCMのあり方。過去の成功例や、変わり行くCMの製作現場。装丁に惹かれて衝動買いしてしまったが、私が期待した話ではなかった。本はよく見て買おう。


深泥丘奇談・続 (文庫ダ・ヴィンチ)

深泥丘奇談・続 (文庫ダ・ヴィンチ)

「深泥丘」という街で暮らす主人公の周りで起こる怪異の続編。怖い話というより変な話だな。


世の中の見方が変わる哲学

世の中の見方が変わる哲学

同じような本を2冊読んでしまったよ。どちらも古今東西の哲学者の知恵からいまを生きるヒントを探ったもの。「結論を出す」「理解をする」ことが大切なのではないことを教えてくれる。


ガソリン生活

ガソリン生活

主人公は乗用車。意思はあるし、自動車同士で会話をすることもできるのだが、人間が運転するままに動くだけで自分では何もできない。なので窮地に陥ったご主人様を助けるために急ブレーキをかけたり、悪い奴に衝突したりとかそういう話ではない。3人称で語られる小説とは「神の視点」と呼ばれるが、それを自動車の視点にしたわけだ。妙なことを考えるなあ。そして絶体絶命のピンチになったオーナーの家族、それを助けるのは...え〜! この人、冒頭から出てたけどそんな重要な人だったの! また引っかかったよ