実写版放送終了1周年によせて(その4)「実写版の弱点」

アニメでは1年間に渡って引っ張ってきた銀水晶やプリンセスの謎が、実写版ではなんと半年経過後のact25で早々と明かされる。なので、てっきりダークキングダム編は前半で終了して、後半はオリジナルストーリーかと思ったらそうでもない。それなら銀水晶とプリンセスを後半まで秘密にしておけばよいのにと思うが、それではセーラーヴィーナスがいつまでも贋プリンセスを演じなければならない。つまりセーラーヴィーナスの登場が早すぎるのだ。初出なので徐々に戦士を増やしていけばよいアニメと違って、すでに5人いることがわかっているセーラ戦士を早い段階でそろえなければならなかった制作上の都合、セーラーヴィーナスの玩具や衣料を売りたいスポンサー側の要請だと思う。そのためシリーズ後半は謎が無いまま物語が進行するのである。シリーズ後半での登場人物の行動原理はどうなってたかをおさらいしよう。

     月野うさぎ・・・・地場衛との恋の成就

     地場衛・・・・・・自分探し

     セーラー戦士・・・地球を守る。ただし防戦のみ

     クインベリル・・・メタリアを使って地球征服

     クンツァイト・・・エンディミオンが憎い。ただしすぐに攻撃を仕掛ける気はない

     ゾイサイト・・・・エンディミオンの警護。ただし防戦のみ

     ジェダイト・・・・ベリルに服従

     ネフライト・・・・ベリルに服従。だが相手にされず

こうしてみると明確な目的を持って積極的に行動をしているのはベリルだけなのだ。残りの登場人物は目標を失っている。セーラー戦士も防戦のみで、ダークキングダムへ乗り込んでベリルを倒そうという気はない。うさぎと衛の恋愛ストーリー以外に、なにかシリーズ後半を貫くセーラー戦士側のビジョンは作れなかったのか。たとえば

     テーマ:ダークキングダムへ行ってベリルをぶっとばす

     問題点:ダークキングダムへどうやって行くか

     ・act36で連れ去られた衛がact32あたりでうさぎに手がかりを与える

     ・act37で再生したネフリンがキーアイテムを持っている

     ・上の2つを使ってテレポートを試みるが失敗

     ・黒木ミオが火野レイをダークキングダムに連れて行く

     ・やっとテレポート地点がわかりact48で乗り込む

これならセリフが少し増えるだけで、脚本はほとんど変更しないで済む。いま考えると残念だ。
(つづく)