進化する戦闘シーン(中編)

●完成期 act23〜34
セーラームーンのアクションが完成しつつあることがわかるのは意外にもact23(マーズレイ子)でのレイとカラオケマシンの格闘だった。この手のギャグアクションは高い身体能力を要求され、加藤茶志村けんのベテラン喜劇人でないと無理。それを北川景子がやってのけたのは、細かいカット割り、アップとロングを組み合わせたカメラワークである。またact23後半の戦闘シーンではハンディカメラで後ろ斜め下からスタントを追いかけて行く手法も導入されている。翌週act24での妖魔とまことの戦いなどは普通の特撮番組と比べてまったく遜色がなかった。
●円熟期 act35〜
視聴者の印象に残るのはact36でのナパームだと思うが、アクションの点ではact35(ゾイのオルゴール)の屋上の対決が最高だと私は思う。ムーン、ヴィーナス、ジェダ、クンの4人がキラリのBGMに合わせて入り乱れて戦う。さすが鈴村ライダー監督である。ヴィーナスの動きを追っていくと、あと1カット多かったら小松彩夏のへっぴり腰が映ってしまうところでカットが変わっている。この水準までのアクションシーンが作れれば、マスクをかぶった人が演じるより美少女が演じた方が画面がきれいである。まさに美少女戦士である。
このようにキャストの成長、スタッフの試行錯誤と進化を見守ることができた体験は過去に類が無く、その点でも素晴らしい1年であった。
ところで「セーラームーンの想ひ出」を始めたものの、いまのところ今週分しかネタがありません。残りのネタは「進化する戦闘シーン(後編)」「妖魔はなぜ触手を伸ばすか」「被害者の物語」「セーラームーンでなくても倒せる妖魔」「前世と現世の非対称」「最終回の考察」。最終回の考察の前にネタを思いついたらいいのだが...