ウソは覚せい剤より重い...のか?

こんな記事があった*1

  K容疑者は1月24日放送の同番組に出演したばかり。

  昨夏に○○○が司会を務める番組に出演した際には薬物使用疑惑を否定しており

  「僕の目を見て、本当にやっていないと言ったんですよ。

   我々も信じたし、そのウソって覚せい剤どうこうよりも我々に対してもスタッフに対しても視聴者に対しても“バカにしているのか”と。

   この罪は覚せい剤より重い」

  と怒りを押し殺すように話した。

気持ちはわかる。これは自分を信頼してくれた相手に対する裏切りだ。同じ立場だったら私も同じことを言うかもしれない。だがK容疑者は「本当にやっていない」以外にどんな言い方があったのか? たとえば

  すいません、やってました。

  こんなことはいけないことだ、止めよう、止めようと思ってたんですが止められなかったんです。

  Mさんの言葉で目が覚めました。いまから警察に行きます

衝動的な犯罪ならこの展開もあるだろうが、彼はいわば常習犯である。K容疑者とMさんの関係は知らないが、この展開を期待するのは無理ではないか? 逆に

  あ、バレてますか? はい、やってます。ここに来る前も打って(吸って?)来ました。

  止める気はないですし、警察になんか行きません。

  Mさん、黙っててくれますよね

こうなると今度はMさんが困る。「ワシはおまえのためを思っていまから警察に電話する。悪く思うな。おまえのためや」と、電話をかけられれば問題ない。だが、そうだとしても「あいつのために良いことをした」とか「正義を履行した」と清々しい気持ちになることはないと思う。なにか重たい十字架を背負ってしまったと思うのではないだろうか。Mさんならこうするかもしれないが、普通はK容疑者のマネジャーや、自分のマネジャー経由でK容疑者の事務所に連絡するのではないだろうか。これはこれでリスクがあって、すぐに自首をすれば良いのだが、なかなか自首をしない、あるいは事務所がすぐには自首をさせなかったら。そして自首をする前に逮捕されたら。そしてK容疑者がMさんに告白したことが公になったら。Mさんは、なぜすぐに連絡をしないと警察に叱られ、なぜすぐにネタを売りに来ないと週刊文春に叱られてしまう。どっちにしてもMさんには迷惑なことなのだ。
「やってるのか?」と聞かれて、「やってません」と言っても「やってます」と言ってもMさんには迷惑がかかる。ある規模以上の民間企業だと人事部とか法務部とかコンプライアンス室とかに専門家がいて、覚せい剤のような刑事事件はないが、不正行為やハラスメントの内部告発があったときは本人にわからないように証拠固めを行なった上で本人にそれを突きつける。いきなり「やったのか?」とは聞かない。「やってません」以外の答えを期待してもしかたないからだ。芸能事務所はこういうことはしないのかな。社員と所属タレントは違うからな。
罪はそれを否定しようが肯定しようが、犯した時点でまわりに迷惑がかかるのだ。そういう立場になりたくないものだ