セーラーマーキュリー「水野亜美の宇宙」(その2)

水野亜美愛野美奈子の二人はオープニングを見ただけで実写版での変更点がわかる。眼鏡っ子の亜美と芸能人の美奈子だ。そして前半では小林靖子水野亜美にこだわり続ける*1

     act02・・・うさぎちゃんと友達になる

     act05・・・うさぎちゃんに嫌われたくない

     act14・・・うさぎちゃんを返して

     act16・・・うさぎちゃんに嫌われそう

act16は地味なエピソードだが「初期中学生日記シリーズ」の最後の回ということで私は全シリーズ中、5本の指に入れたい名作だ。そして亜美の成長物語の最終回である。上に列挙したテイストの話がその後は無かったのが残念である。なぜだ?それは、こんなことで悩むほどセーラー戦士は弱くないのだ。
アニメ放送時、近所の子供に大人気だったのは亜美ちゃんだったと記憶している。なにしろ、可愛いし、勉強はできるし、しっかりしてるし、優しいし、とにかく欠点がない*2。その完全無欠、満点少女の水野亜美は、10年の時を経て内気で孤独な少女として我々の前に降臨した。わかる、わかるぞ〜。亜美の行動や心情にいちいち共感してしまう。わかりすぎて痛い。そしてテレビに向かって叫ぶ。「うさぎ、いいかげんにしろ!」と。そしてボヨヨン妖魔と戦うセーラーマーキュリーより、塾を休んでパジャマパーティをしている水野亜美を応援してしまう。タキシード仮面を殴る木野まことや命を賭けて前世の使命を全うする愛野美奈子の心境はわからなくても、屋上でコンビニのおにぎりを食べる水野亜美には、視聴者全員の心の中にある水野亜美の部分が共鳴する。なにしろ、実写版では、act2の前史においては

     【母・自分】

だけが亜美の宇宙だ。これがact2において

     【母・自分・うさぎ】

になった。やがてレイ、まことが現われるが

     (【母・自分・うさぎ】レイ、まこと)

レイとまことは外惑星でしかない。大阪なるなどは、この時点ではただの風景だ。それがact14、16でのなるとの確執を経て

     自分−>母、うさぎ、レイ、まこと、なる、その他亜美を取り巻くすべての人

と、はじめて水野亜美の宇宙が完成する。話は最初に戻って、だから私は実写版セーラームーンの第1部をこうしたい。

     act01〜act16・・・第1部 亜美編

(つづく)

*1:もちろん舞原監督も。舞原監督は水野亜美にこだわってたのか浜千咲にこだわってたのか不明だが

*2:他の4人も似たようなものなのだが