検証・これが実写版の台本だ!−act40(その4)

今日のカットシーンは、火野レイが火川神社の殺風景な部屋で*1本を読んでいるとアルテミスが訪ねてくるシーンだ。放送ではすぐに場面が変わり、そこでどんな会話があったかは想像するしかないのだが、台本にはレイとアルテミスの会話がある。
放送当時、レイに相談に来るアルテミスに対して、ファンサイトに

     「やっぱりアルテミスから見て頼りになるのはレイちゃんなんですね」

と書き込みがあったのを覚えている。まことに当を得た意見だと思ったが、台本上は少し違う。act36で病室の美奈子がアルテミスに命じてレイを呼び出す*2。つまりレイを選んだのはアルテミスではなく美奈子なのだ。美奈子は病気のこと、アルテミスは戦士として目覚めてないことをレイに伝える。芸能人を辞める動機である病気と戦士の目覚めは二つともレイしか知らない美奈子の秘密であり、それを相談できるのはレイしかいない。
act36の台本を検証しているときアルテミスの葛藤のことは少し書いた*3。act40に到ってはアルテミスの苦悩はますます深くなっている。なにしろ美奈子を病気と知りながら戦いに引っ張り込んだのはアルテミスなのである。しかし美奈子たちセーラー戦士の使命は、愛野美奈子一人の命よりも重い。だからやらねばならん。ところでセーラー戦士の使命ってなんだ?前世の記憶がある美奈子・アルテミス陣営はどうしたいのだ?彼らにとってのゴールとはなんなのだ?ダークキングダムを倒してクインメタリアを抹消することか。プリンセスセレニティとエンディミオンを近づけないことか。そこが明示されてないので美奈子やアルテミスの葛藤がいまひとつわからない。美奈子が意固地になっているだけのように見える。ここがシリーズ後半の弱さなのである。
さて、放送ではマーズれい子登場の過程を視聴者は大幅に脳内補完するしかなかったわけだが、台本のこの部分でだいぶわかった。次のカットシーンを見るとさらに明らかになる。
(つづく)