中の人の話題は放送当時から多くのファンサイトが立ち、いまでも数々の情報と賛辞が書かれているので私がわざわざ繰り返す必要はない。ただ火野レイを論ずるにあたって北川景子その人に触れないわけにはいかない。それほどインパクトが強かった。将来、美少女戦士セーラームーンが再アニメ化されることがあったら、そのときの火野レイ像は10年前のアニメでの火野レイではなく、北川景子が演じた火野レイになるであろう。...いや、それはないか。なぜなら実写版での火野レイは、本来、月野うさぎ=セーラームーンがやるべきことの半分以上を横取りしていたからだ。これが今回のテーマである。*1
10年前、アニメとコミックが同時進行していたとき、定期的に月刊「なかよし」誌上で登場人物の人気投票が行なわれていた。そこでの火野レイ=セーラーマーズは散々な結果だった。猫に負け、敵キャラに負け、レギュラーでは毎回最下位だった。そして10年後の実写版である。放送開始ごろのインタビューで北川景子は
「レイちゃんが大好きで、火野レイ役が決まったときはうれしくて泣いちゃいました」
「『全国のマーズファン』の皆様に喜んでもらえる火野レイを演じたいです」
と10年前に人気投票最下位を忸怩たる思いで見ていた『全国のマーズファン』に熱いメッセージを送り続けた。『全国のマーズファン』はここまで言われて北川景子を好きにならないわけがない。応援しないわけがない。*2また、つい先日、まったく久しぶりに更新されたバンダイのサイト「セーラームーンチャンネル」で、原作者の武内直子は戦士役を演じた女の子たち一人一人にメッセージを送った。その中で北川景子に対しては
「(中略)レイちゃんは永遠にキミのもの」
これ以上の賛辞があるだろうか。アニメスタッフが原作を改竄するたびに*3制作会社と紛糾していた武内直子が「3次元版火野レイ」を北川景子と認めたのだ。
それに対して放送終了後、ミニコミ誌のインタビューで「なんのオーディションか知らないで行った」とか「マーズじゃなくてビーナスが好きだった(ジュピターだったかな)」などの発言があったそうで*4一部ファンに物議をかもしだした。またSpecialActでは変身しなかったり*5、DVDの特典映像では態度悪そうだったりとネガティブな話題に事欠かない。
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いいではないか、火野レイは人に媚びないのだ。たとえファンに対してでも。そして火野レイは永遠に北川景子のものなのだ。たとえ北川景子にその気がなくとも。『全国のマーズファン』を代表して言おう。ありがとう北川景子!*6
(つづく)*7