「行くよ〜」「行け〜」言わずと知れた実写版の名シーン。act8のレイとまことの疾走である。私がこの回を名作だと思うのはレイとまことの心の距離感が実に丹念に描かれているからである。といっても、まことは常にマイペース。揺れ動いているのはレイである。
【第1幕】うさぎの宿題を巡ってレイとまことが衝突
レイもまことも、うさぎに対しては「お姉さんモード」でいる。レイは「あるべき方向を追求する」厳しいお姉さん、まことは「あるがままを受け入れる」優しいお姉さんだ。タキシード仮面だけにはなぜかまことは厳しいが。この力関係を図示するとレイ>うさぎ (注)お姉さん>妹
対立
まこ>うさぎ
【第2幕】父親が原因でレイ逆上
いつも強がっているレイが、自分の弱い姿をまことに見られてしまった。だが、まことはレイのように「あるべき方向」を示さない。「逃げちゃえば?」
「逃げちゃおうよ。なんか、もういいじゃん」
そもそも自立ができない中学生のレイには、扶養者である父親、憎んでいる父親、でも本当は愛して欲しい肉親、このジレンマを解決することなど無理なのだ。まことは、その答えを出すことを保留させることでレイを救済する。これまで対等であった二人の関係に変化が生じる。
まこ>レイ
この後、二人の疾走そして駐車場でまことがカバンの中身をぶちまける。
「あ〜かわいいの好きなんじゃない」
「へ〜手作りじゃん」
「これは?」「これは?」
全49話中、レイが子供っぽく振る舞うのはact8のこのシーンとact34の亜美とのパーティだけである。なぜなら、この時点ではレイにとってまことはお姉さんだからだ。
【第3幕】なこなこ会場
戦いが済んで、うさぎのためになこなこコンテストに出場する。二人の関係は元の状態にリセットされる。レイ>うさぎ
共闘
まこ>うさぎ
リセットできたのは二人に共通の妹であるうさぎの存在、そして揺れ動くレイに対して常に変わらないまことがいるからであるのは言うまでもない。
なお、この回で石になったヘタレのジェダイトは復活後もヘタレ続け、最後までヘタレ続けたが最終回ラスト15分前で男になる。