地下鉄・名古屋駅

地下鉄・東山線名古屋駅。改札の前に乗車にあたっての注意がアクリル板に書いてある。

     車内へ次の物品を持込むことを禁止します。

     1.危険物及び危害を及ぼすおそれのあるもの

     2.死体

     3.動物

     4.規定以上の大きさの物品

     5.乗客に迷惑をかけるおそれのあるもの

     6.その他係員が持込むことを不適当と認めたもの

死体...動物より前に死体。「乗客に迷惑をかけるもの」より先に死体。「その他もろもろ」の規定が6番目にあるのにわざわざ死体。ここから容易に類推できるのは、名古屋では地下鉄に死体を持ち込む人が後を絶たなかったのだ。死体は犬のように吠えるわけでない。物干し竿ほど場所を取るわけではない。当初は気にとめなかった当局だが、「優先席に座らせる」「混んでいるのに座席に寝かせ5人分を占有する」「防腐処理をしていない生死体を持ち込む」「網棚に置き忘れる」などマナーの悪い死体が増え、乗客からの苦情を無視できなくなった。また、女性専用車両の導入にあたって女性の死体は女性専用車両に乗せて良いか当局内でも意見が分かれ結論が出ない。そこで死体の持ち込みを全面的に禁止するという措置に到ったわけだ。当然、当局と死体の間では

     死体「地下鉄に乗っちゃ行けないなんて、俺たちに死ねと言ってるのか!」

     駅長「いえ、近鉄やバスはご利用いただけますから。それにあなた方はもう死んで...」

     死体「俺たちが死体だからって差別をするのか!人権の侵害だ!生存権の剥奪だ!」

     駅長「そんな大げさな。バスやタクシーをお使いください。生存権って、生きてないし...」

のような一悶着があったことは想像に難くない。死体の持ち込み禁止がいつごろ発令されたものなのかはわからないが、いまでもこっそり持ち込む人がいるはずだ。名古屋の地下鉄に乗って、両隣の人が実は死体だったという体験もそれほどめずらしくないのかもしれない。恐るべし名古屋!*1

*1:名古屋の人ごめんなさい