真冬のビデオまつり

1本目の「わたし出すわ」は先日、紹介したとおり。会社でロトが最高10億円になったというニュースを見て

  私「10億円かあ。よし、僕が10億円を手にしたら、課の全員に1000万円ずつあげよう」

  Uさん(35才・女性・独身)「いいなあ、1000万円欲しいなあ」

  Nくん(34才・男性・妻帯者)「まじっすか、僕にもくれるんですか。ありがとうございます」

  私「いいよ、Nくんにもあげるよ。となりの部の女性陣にも500万円ずつあげちゃう」

すげえ、くだらない会話だな。
     
リリーフランキー木村多江演じる夫婦の10年。あらためて見ると木村多江って美人だな。待望の子どもを流産したり、会社でいじめられたり、親戚に責められたりで妻がどんどん追い詰められて心療内科に通わなければならなくなる。それでもどんどん落ち込んで爆発して、一見、甲斐性無しの夫がそんな妻を正面から受け止めて、そこから長い月日をかけて快方に向かっていく。その少しずつ暗くなっていく様子と明るくなってくる様子の演技がすごく上手。リリーフランキーはそのまんまだけどいい味が出ている。
     
3組の男女の食に関する群像劇。といっても有名なシェフとか食通の話ではなく、ふつうの夫婦だったり少しずつ気持ちが近づいていく若者だったり。1,800円払って見る映画でもないし、テレビ東京あたりで放送してたらわざわざチャンネルを合わせないかもしれないが、大きな事件が起こるわけでもないので逆に話の落としどころが予想できないのがいい。
     
今週の掘り出し物はこれ。たぶん知っている人はいないと思う、日本未公開の映画。1時間40分の映画だが、開始30分では世界観がまったくわからない。1時間でもよくわからない。死神(?)の集団に連れ去られた女の子を助ける正義(?)の集団。この集団がなんなのかよくわからない。物語がよくわからないのだが、まったく退屈しない。映像と音楽がじつに素晴らしい。ラストは女の子と父親を守るため、援軍が来られない状態で正義の集団の男性1人と女性2人が大勢で襲ってくる死神軍団とけっこう絶望的な戦いをする。その3人の健気さが泣ける。最後はハッピーエンドになるのだが、結局、この集団はなんだかわからないままラスト。だがこの正義の集団がじつにオシャレでスマート。ハリウッド映画のマーベルやDCコミックのヒーローとは対極にある描き方で、こんなスタイルがあるのかと感心した。調べたら、この映画は作ったものの配給をしてくれる会社や上映をしてくれる場所がなく、やっとDVDの販売までこぎつけたそうだ。それを買って違法コピーをネットにアップしたやつがいて、皮肉にもそのコピーが拡散され話題になった作品らしい。制作側はまったく儲かってないのだが「多くの人に見てもらえてうれしい」とのこと。その結果、劇場公開になったそうだ。この映画は劇場で観たかったぞい。ぜひご覧あれ。