夏休み映画まつり(番外編)

会社の帰りにこれを見てきたよ。小松彩夏のゾンビを観に行ったときに予告編をやっていて興味をそそられた。なにしろ監督が私のトラウマ映画「4th カインド」の人。これは面白かったなあ。いかにも低予算で作ったB級映画なのだがよくできている。ラスベガスに行くバスが荒野で事故を起こし近くの廃工場で一夜を明かすことになったがそこに現われる殺人鬼。だが物語は被害者視点ではなくて、何が起こったかを解き明かそうとする警察視点で進む。では刑事はなんで当日の様子がわかるかというと、被害者たちが持っていた2台のビデオカメラと2台の携帯電話の動画。ホームビデオの映像なので視界が狭い一人称視点。これは怖い。ラスト2分くらいで判明する意外な犯人。そうか、伏線は初めからあったじゃないか。まいった。
だが伏線はあったのだが、動機が弱い。それが理由でこれだけの人数を残虐な方法で殺すか? 物語の中で殺人が行なわれる。問題はその動機である。観客全員が納得するような動機、あれなら俺だってあいつを殺すよという動機だと、それは「正義」になる。反対に同意できない動機なら「狂気」だ。その場合、殺人者はいかに狂っているかの描写が必要になるわけだ。ところが殺人者は狂っていないのがわかっている。しかも納得できる動機ではない。それは当然「正義」ではなく「狂気」でもない。これを表現する言葉は「ギャグ」でしかない。というわけで最後はギャグの傑作B級映画だった。この監督にもっと予算をあげて大作を作らせてあげて