DVD第2巻−act5〜8(その2)

さて、act5のすごいところは前半の中学生日記部分の問題が解決していないことだ。

     1.正常な対人関係が築けない亜美

     2.うさぎに嫌われたくないばかりに必要以上に無理をする亜美

     3.無意識に亜美を窮地に追い込む発言をするうさぎ

3について、act5を見るとどう考えてもうさぎは悪い奴だが*1、これが脚本上の設定なのか、30分に納めるためどうしても極端な言動をせざるを得ないのかは謎である。ラストで進歩があったのは2、亜美が無理をすることをやめたことだけである。だが、これの原因になった1は未解決のままだし、亜美の暴走のトリガーになったうさぎは反省をしてないし、そもそも自分が原因であることに気づいてさえいない。私が(その1)で非凡であると言ったのはこの点である。これが学園物なら主人公か、先生が出てきてすべての問題を解決するはずである。この程度のぬるい結末が許されるのは、これが学園物ではなくヒーロー物であるからだ。ヒーロー物では出てきた怪物は必ず倒さなければならないように、学園物は屋上で一人おにぎりを食べる少女を放置してはいけない。だが、現実はどうだろう。人の心の問題など一朝一夕でどうなるというものではないのだ。むしろact5の中途半端さこそリアルだ。この展開は重松清の小説に通じるものがある。
なお、act5を見た視聴者は、ホワイトボードの伝言から亜美の母親が教育ママ*2であることをインプリンティングされる。次に母親が出てくるact33で「ああ、やっぱり」と思うのだが、実はact5、act33ともact34の前振りである。亜美の母親は娘が勉強一筋の学生生活を送ることなど望んではいなかった。レイパパの伏線については以前に書いたが、亜美ママもact5が伏線になっている。恐るべし小林靖子。子供は忘れているだろうけどな。
(つづく)

*1:act16でもそうだ。亜美を前にするとうさぎは悪魔になる

*2:死語ですか