日本の中高生は本を読まないのか(前編)

日曜日にやっていたテレビ番組。日本を含む世界の30ヶ国を住宅の広さとか美人コンテストに入賞した回数とかいろいろなテーマでランキングするものだった。その中で「中高生が1ヶ月に読む本の数」というのがあって、日本は30ヶ国中、30位のペケだった。本にはマンガは含まない。29位が韓国、28位がドイツだったと思う。1位がどこだったか忘れた。この順位に不満は無いし、これに反論するだけのデータを持っていない。それでも私は2つの点で疑問を投げかけたい。
【高校進学率の差】明治初期の大学生を想像して欲しい。講師はほとんど欧米人で英語やドイツ語で授業が進む。テキストも英語・オランダ語・ドイツ語。それでいて夏目漱石のように漢語の素養もある。大学生とはそういう秀才だったのだ。日本の高校の数がいまの100分の1で高校の進学率が10%だったら高校生はどういう子どもたちになるか想像してもらえばいい。つまり進学率が高くなればなるほど、高校生の平均学力は下がるのだ。同じことが大学、大学院にも言える。日本の高校の進学率は90%を超えている。つまり日本の高校生は世界有数のバカなのだ。残念ながら他の国の高校進学率がわからなかったので、これを結論とするには難があるが、考慮すべき因子であるには変わりない。でも「世界一バカ」と言われるくらいなら「本を読まない」と言われた方が高校生は幸せなんじゃないか?
【マンガの普及】子どもが大人と同じ本を読んでいるランキングを作ったら、開発途上国が上位に並ぶはずなのである。マンガはおろか児童文学がマーケットとして存在するだけの余力がないからだ。日本のマンガのクオリティの高さは世界の中で郡を抜いている。これだけ良質のマンガがあって、子どもに児童文学を読めというのは酷だ。残りの29ヶ国に日本と同じようなマンガが無い状態で比較をするのは無理がある。考えて欲しい。「巨人の星」や「あしたのジョー」、新しいところなら「スラムダンク」や「ジョジョ*1以上のインパクトと説得力を持って子どもになにかを訴えかける文学を作るのは至難の技だと思わないか。自分の夢や目的に一途であることの眩しさ、なんの見返りも無く友や愛する人を思う気持ちの尊さ、どんな逆境に置かれてもけっしてあきらめないことの美しさ。それをこの4作品以上に教えてくれた文学作品は大人向けのものだってそうそうはない。

*1:新しくないぞ