「セーラーヴィーナス」愛野美奈子の蹉跌(その4)

月野うさぎセーラームーンを頂点とする主従関係が築かれていたアニメに対して、火野レイ=セーラーマーズをリーダーとする実写版のセーラー戦隊。そう考え全編を見直すと、act7から8にかけて、うさぎや亜美が自分たちのリーダーと認めるレイに逆らう新参者のまこと、act23でレイをいじり倒す美奈子とうさぎに助けを求めるレイ、act26でリーダーは私だと言い切るセーラーヴィーナスなど、レイと他の4人の関係性がおもしろい。
このようにセーラー戦隊はセーラーマーズをリーダーにしてこの4人で完結している。では、セーラーヴィーナスは何者か。彼女はセーラー戦隊に属してない戦士、つまり戦隊物のブラックやシルバーなのである。またはセーラームーンSに出てくる外部戦士なのである。仮にこれを「プラス1の戦士」と呼ぶことにする。この「プラス1の戦士」だが、一般には

     ・ビジュアルが他の戦士と異なる

     ・強い。または他の戦士に無い特殊な技を持っている

     ・他の戦士が知らない、物語の根幹に関わる秘密を知っている

     ・出自に味方または敵に関連した秘密がある

などの特徴を持っている。ところがセーラー戦隊のプラス1の戦士であるセーラーヴィーナスがどれにも該当しないのが彼女の立場をわかりにくくしている。まずビジュアルは同じ。いや変えるには原作が有名すぎるし、おもちゃなど関連商品にも影響する。次に戦力であるが、これは過去に何度か検討した*1 *2。私はact12あたりで「はは〜ん、なるほどね。ヴィーナスはそういう立場か」と思ったもんだから、act17やact23で「びーなすびーむ」*3が妖魔にはじき返されたり、ダーキュリーとのタイマン勝負で負けたのを見てひどく困惑した。
すると残るプラス1の戦士の資格は秘密だけである。これはプリンセスの正体を含む前世の記憶と言うことになる。ところがプリンセスの正体はシリーズ中盤のact25であっさりと割れる。残る前世の記憶は、これも過去に書いたとおり*4 *5、結局なんだかわかんないまま番組が終わる。
つまり、私の「セーラーヴィーナス=プラス1の戦士」説がまちがい?でも、ヴィーナスの描き方を見ると他には考えられないのだが。
(つづく)