真夏のビデオまつり「ユダヤ人を救った動物園」「あなたの名前を呼べたなら」

朝晩は少し涼しくなったけど、まだまだだなあ。

   

熱海の捜査官
【1,000円】三木聡監督による全8話のドラマ。この作品、好きな人は好きなんだろうか。「これはミステリーではありません。あくまでもミステリーのパロディです。だから細かい事は気にしないでください」ってことなのかもしれない。あるいは「ラストシーンでわかるようにここは○○の世界です。なので論理が及ばないことがあります」ってことなのかもしれない。だがあまりにも視聴者に失礼ではないか? そんなことを考えてはいけないのか。12年前の作品なのでクソ生意気な山崎賢人が出てくる。あとエンドクレジットを見てどこに出てたのかわからないくらい今の面影がないのがこの人。

   

12年前の三吉彩花。まったくわからない。もう一人が

   

12年前の二階堂ふみ。まったく変わらない。

エマ デッド・オア・キル
【1,000円】あらすじを読んだら「リベンジ物」だと思った。偶然にそこにいあわせた女性を悪い男たちが瀕死の目に遭わせる。死んだかと思って男が去って行くと女性はまだ生きていて男たちを皆殺しにする。アプローチは同じなのだが、それほどひどい目に遭わずに主人公は逃げ出す。小学校の教師の主人公、じつは特殊部隊にいた父親にサバイバル術と戦闘術をしこまれていた...これはリベンジ物ではなく、ナーメテーター物。主人公が強すぎてギャングが弱すぎてつまらない。

ユダヤ人を救った動物園
【1,500円】第二次世界大戦中、ポーランドにあるワルシャワ動物園がユダヤ人を匿い、レジスタンスと連携して国外に脱出させたり、行き先のない者は住まわせ続け、その数は延べ300人に及んだ。これは実話で、この夫妻は1970年代にイスラエルにおいて感謝の勲章を授かっている*1。夫はレジスタンスとの活動があるので、動物園で彼らを匿い、ドイツ兵の目から隠したのは奥さんの働き。だがこの人は活動家ではなく、ただの動物園の園長の夫人。命がけの行為を続けた理由が「あの人たちがかわいそうだから」。実話の重さに比べて映画はちょっと軽すぎるんだよなあ。終戦前後はもっとドラマがあったはずなんだが。

あなたの名前を呼べたなら
【1,700円】この映画がインドで作られ、インドで公開されたのがすごい。主人公の女性は10代で結婚させられたが、夫が数ヶ月後に死んで未亡人になってしまう。村では未亡人は忌み嫌われ、口減らしのために都会で住み込みのメイドとして働く。主人は高層マンションに住んでいる青年で、アメリカで働いていたが家の跡継ぎの兄が死んだために親の仕事を手伝うために戻ってきた。マンションの一室で交差する新しいインドと古いインド。青年はだんだんメイドに惹かれていく。メイドも青年に好意は持っているが、別の階級に属する人との恋愛など、彼女には考えられない、耐えがたいことだった...この二人が添い遂げるには二人でアメリカに行くしかないのだが、それさえ彼女にとっては家族に対する裏切りになってしまう。インド人や中国人がアメリカをめざすのがよくわかる。そして日本人にその必要がないのもよくわかる。原題は「SIER(ご主人様)」。終盤で「僕を名前で呼んでくれ」と彼女に頼むが、彼女には無理な話だった。ラストシーンで邦題が生きてくるよ。

*1:杉浦千畝がもらったのと同じやつ