私が住んでいるところは高層マンションはないが、3階から5階建てくらいのマンションとかアパートが集まっているのだよ。これだけ人口密度が高いと、いくら少子化といってもどこからか赤ちゃんの声が聞こえる。赤ちゃんの泣き声や子どもがキャッキャいう声をうるせえという偏屈なジジイも少なくないようだ。昼間だけなんだからいいじゃないか。おまえが公民館や図書館に行けよと思う。私も女房も子どもの声が聞こえてくるのって好きで、自分たちには失われつつある「命の輝き」を感じるんだよね。
今日もどこからか赤ちゃんの泣き声が聞こえてきて、ふと思ったんだ。今年は2022年でしょ。あの赤ちゃんが天寿をまっとうしたとすると、2100年を超えているわけよ。そう、あの子は22世紀まで生きる。これってすごくないか。22世紀っていうと、工場や家庭にアンドロイドがふつうにいて力仕事をやってくれそう。マチュピチュに行くくらいの労力で宇宙から地球を見る旅ができてそう。常温核融合が実用化されて石油産出国なんかただの砂漠の国になってそう。ナノマシンで血を流さずに手術ができてそう。あと78年でそこまで行くとは思えないが、あの子たちのために豊かな未来を築かなければならないと思った夏の夜であった。とりあえずいまの私には献血しかできないけど。
