真夏の映画まつり「この子は邪悪」「ブレット・トレイン」

1本目の上映館が少なくてアリオ亀有の中のMOVIXに観に行った。昨日の記事の「おいしかった王将」はここのフードコートね。アリオ亀有に家族で行くときは自家用車を使うのだが、最近は運転が億劫で億劫で、自分ひとりだと車を運転する気になれないんだよ。たぶんあと10年もしないうちに免許を返納すると思う。

   

南沙良ちゃんの主演作。TSUTAYAの企画コンテストの入選作らしいが正直なところいま一歩だった。父親が心理療法士の一家、母と娘2人で遊園地に行った帰り、父親が運転する車に信号無視のトラックが突っ込む。父親は足に障害、母は植物人間、妹は顔面に火傷を負ってしまう。その5年後、母が突然に意識を回復し家に戻ってくる。だが主人公は母に違和感を持つ。この人は本当にお母さんなのか...いろいろ惜しい。もう一捻りすればミステリー色を濃くすることもできたし、ホラーにすることもできた。これは応募作の問題というより、それを商業作品として味付けをする脚本の問題だと思う。本作でも友達がいない南沙良ちゃん。友達に囲まれた彼女をスクリーンで見られるのはいつか?

   

原作は伊坂幸太郎の「マリアビートル」、私が好きな作品だ。舞台は日本だが、この映画は日本でいっさいロケをしていない。コロナでできなかったのか、最初からする気がなかったのか。なので異世界の日本と異世界の新幹線が舞台。出演する日本人も真田広之だけで、日本人の乗客はどう見ても中国人。監督がそれをわからないはずがないので、外国人の目から見た日本を誇張したのがこの作品なのだと思う。原作と違う点をあげても意味がない。東北新幹線東海道新幹線(という言葉は出てこない)、新幹線にバーはない、主人公はこんなに強くない、列車の中であんなに暴れない、列車は脱線しない。むしろ、伊坂幸太郎らしさ、彼が彼であるための重要なテイストがあることに私は拍手喝采だ。冒頭で延々と続く無駄な会話(終盤で生きてくる)、個性的で魅力的な登場人物(主人公がいちばん無個性)、飄々とした主人公(主体的な行動が少ない)、無関係に見えた人物や出来事が終盤でぜんぶ繋がる(無駄がいっさい無い)。やられたよ、映画向きの原作がハリウッドに持って行かれちゃったよ。「死神の浮力」はぜひ日本で映画化して欲しい。