真夏の映画まつり「キャメラを止めるな!」「エックス」

TOHOシネマズ日比谷シャンテ

   

カメラを止めるな!」がフランスでリメイクされた。ふつうリメイク版は原版に重ね書き、つまりリメイク版の世界では原版がなかったものとして進行するものだが、本作は「日本でヒットした作品のリメイクを作ってみよう。そのために日本からプロデューサも呼ぶし、台本も取り寄せる」というもの。そのプロデューサーがポスターの中央右に出ている、一度見たら絶対に忘れないおばちゃん。映画の構成は原版とまったく同じ。完成したワンテイクの映画から始まり、エンドロールの後に1か月前の企画を監督に説明するところから本編、そして撮影の舞台裏。この映画の面白さは、撮影中にいろいろなトラブルがあり、かといってワンテイクが売りの映画のため中断できない。そこで出演者がごまかし、でもごまかしきれずに変な間ができたり、変なカットが入ったりするところ。先に完成品を見せられ、実はこういうことが起こったためにああなったのだが後半でわかる、いわば問題編と解答編で構成される。それで、フランス版だが...これは映画の出来不出来ではなく、日本とフランスの感覚の違いをこれでもかというくらい何度も見ることになった。とにかく間が長い。トラブル回収シーン(同じセリフを何度も繰り返す、関係ない会話で間を持たせる)が長すぎる。いくらワンテイクの実験作といっても、これだけ間が空いたら撮り直しだよというくらいテンポが悪い。だがこれがフランス流コメディのテンポなのだと思う。こうなると、この映画のアメリカ版、台湾版を見てみたいなあ。

   

隣のTOHOシネマズ日比谷。4階に行ったら上映は隣の宝塚ビルだって。日比谷がこれがあるから要注意だ。「ミッドサマー」で一躍有名になった制作会社「A24」の作品。田舎町の一軒家へ映画の撮影のために来た6人の男女。女優2名、男優1名、男性の監督兼カメラマンとプロデューサー、女性の音声係。撮影するのが「文芸調ポルノ映画」。これR15+だが撮影風景はどう見てもR18+だろう。最近はこんなものなのか。そして少し離れたところに住んでいるこの家の持ち主の老夫婦。心霊物ではないサイコ物のホラー映画では、序盤では観客がわからないだけで、ここに来た全員を皆殺しにしようという意図というか目的が殺人鬼側にあるわけだ。なので順番とか方法がわからないだけで、一人ずつ殺されるという物語の展開を観客は予想できて、実際にそのとおりに物語が進行する。ところが本作の老夫婦にはその意図がない。なので中盤までこの先がどうなるのか予想がつかない。それが偶発的に一人目の犠牲者が出てカタストロフに突入するが、この時点では全員皆殺しの意図はまだ無いように思う。この方向性の無さは展開の読めなさであり新しいと思った。音声係の女の子がかわいくて、撮影を見ているうちに「私も出演したい」ってことになり急遽、撮影が始まる。でも下着でベッドに乗ったところで場面が変わってしまい残念。いま調べたらジェナ・オルテガという子役から活躍している女優さんで、まだ19才だって。

   

そりゃ無理だ。